20020705

日本のできごと

2002.06.20〜2002.06.29


日米首脳会談、突出する対米追随ぶり
 小泉首相はカナダで開かれた主要国首脳会議(サミット)に先立ち6月25日、ブッシュ米大統領と会談した。小泉首相は、中東和平問題について欧州などから批判の声があがっている「アラファト議長排除」を柱とする米案を評価するなど、対米追随ぶりをいっそう際立たせた。また、わが国の経済問題では「構造改革の進展」ばかりを強調、具体的な景気浮揚策は示せなかった。サミットでも、いわゆる「不審船」や「拉致問題」などを持ち出し、いっそう朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への圧力を求めたが、同意する意見はほとんど出なかった。一方、ロシアの大量破壊兵器解体への資金拠出増額を押し切られるなど、独自の戦略を持たず米国に従順に従うわが国の対米追随ぶりだけが目立った。支持率の低下の中、サミットを政権浮揚策としたかった小泉首相だが、その姿勢は「小泉流はなにかとブッシュ流」(ロイター)と皮肉られる始末である。

道路公団民営化問題で難問抱える小泉
 日本道路公団などの民営化の具体策を討議する「道路関係4公団民営化推進委員会」(委員長・今井日経連名誉会長)の委員選出をめぐって21日、小泉首相は「民営化」を強く主張している作家の猪瀬氏を起用した。これに対し、自民党内から反発する声が噴出、対抗する形で党独自の調査会をつくるなど対立が激化している。また、懸案の郵政関連四法案をめぐっては、「郵政族」などの大反発で法案の1部修正を余儀なくされた。道路公団民営化や郵政関連法案の成立などをめざし、「実績づくり」に躍起となる小泉だが、足下の与党との亀裂は深い。

東京都、福祉施設を廃止の方針
 東京都立福祉施設改革推進委員会は27日、都立の高齢者、児童施設、障害者施設のうち入所型施設について廃止や民間移譲を行い、将来的には都の運営を全廃するとした報告書をまとめた。都立施設には現在約5000人が入通所し、特別養護老人ホームの待機者だけでも2万5000人を超えているのが現状であり、これまで、国の「改革」路線を先取りし、都立病院の統廃合など福祉切り捨てを進めてきた石原都政の姿勢を色濃く反映した内容となっている。住民の生活や権利を守るべき自治体の役割を放棄する石原都政への反対の声が強まっている。  

「内閣打倒」など地方から小泉批判
 総務省などによる「市町村合併支援シンポジウム」が26日、東京で開かれた。出席した片山総務相などは合併促進の必要性を強調した。しかし、全国町村会の山本会長(福岡県添田町長)は「町村は自然を守り、水を守り、食料をつくっている。国家的な役割分担で大きな役割を果たしていることを認識すべきだ」と、小泉政権が進める強引な市町村合併の動きを批判した。また同日、新潟県加茂市の小池市長は、小泉政権による地方交付税の削減などについて「われわれは息の根を止められようとしている。1日も早く内閣を打倒しなければならない。そうしなければ地方は死ぬ」と発言した。

57回目の沖縄慰霊の日、小泉にヤジ
 沖縄戦の組織的戦闘が終結して57年を迎えた23日、犠牲になった20数万人を追悼する「慰霊の日」の催しが沖縄県内各地で行われた。糸満市では沖縄県主催の追悼式が開かれたが、出席した小泉首相は米軍基地の必要性、有事法制整備を強調するなど、県民感情を逆なでする発言に終始した。こうした首相の態度に対して、参加者が「有事法制絶対反対」と書かれたうちわをかざし、ヤジを飛ばすなど反発する声も出た。

連合中央委、統一ベア見送りに異論
 連合の中央委員会が26日、沖縄で開かれた。執行部は、来年以降の春闘でベアの統一基準の設定を見送り、ベア要求を各産別の労組にゆだねる方針を明らかにした。こうした方針に対して、「企業別交渉を軸とするわが国の春闘方式では、ナショナルセンターの役割は大きく、賃上げなど具体的な要求基準を示すべき」(全国一般)、「春闘の流れをつくる方針を本部は示すべき」(連合北海道)など、中小組合や地方連合から異論が噴出した。ナショナルセンターの役割を放棄し、春闘のいっそうの形骸化をもたらす連合中央の姿勢は許されない。