20020625

世界のできごと・人民のたたかい

2002.06.10〜2002.06.19


ミサイル防衛に走る米国
 ブッシュ米大統領は昨年12月、旧ソ連と締結した弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの一方的脱退を宣言したが、6月13日に同条約失効が確定した。ミサイル防衛配備のフリーハンドを得たブッシュは、テロ組織や「敵性国家」による新たな脅威に対抗するとして、ミサイル防衛システムの早期実戦配備をめざす考えを強調し、早速イージス艦を使った迎撃実験を実施した。米国は五月のモスクワ条約で、ロシアとの間で戦略核兵器面でも優位を確立しており、米一極型の危険な軍事増強を加速している。

サミット財務相会議、難題は先送り
 カナダで14日、主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)財務相会合が開かれた。会議では「G7経済の成長は強まってきている」との共同声明を発表。米国・ブッシュ流の強気の景気認識が主流となり、世界経済が抱える株・ドル安などの不安要因については、踏み込んだ議論は避けた。農業補助金や鉄鋼問題で米国と日欧が激しく対立するなど、各国間の矛盾も拡大している。当面する難題を回避して中長期的な課題の討議でお茶をにごさなければならないところに、サミット参加国の協調体制の空洞化がみられる。

食料サミットで米国の保護主義に批判
 国連食糧農業機関(FAO)が主催する「世界食料サミット5年後会合」が10日からイタリアのローマで開催された。96年のローマ宣言では、2015年までに世界の飢餓人口を半減する目標を掲げたが、飢餓人口は毎年600万人しか減少しておらず、1日あたり2万4000人もの人が飢餓や栄養失調で死亡している現状が浮き彫りにされた。会議ではアジアやアフリカ諸国から、米国など食料輸出大国の保護主義に強い批判が出された。会合に先立つ8日、ローマでは世界のNGOやイタリアの農業団体、労組、環境団体など1万人がデモを行い、飢餓根絶を訴えた。グローバル化が進む中で、貧困の問題はますます深刻になっている。


    欧州各国で労働者のストが相次いだ。ギリシャで18日、政府の年金支給開始年齢引き上げなどの年金改悪に反対するゼネストが全土で闘われた。フランス、ポルトガル、イタリアなど欧州13の航空管制官組合は19日、管制業務の合理化に反対するストを行った。ドイツでは、賃上げを求める建設労働者が17日にストに入った。
 フランスのストラスブールで11日、フランス、ドイツ、イタリアなどの農業関係者1万5000人が集まり、同市の欧州議会周辺で「米国の農業保護への対抗策の導入」「不公平な国からの農産物輸入の差し止め」などを訴え、デモをした。
 パキスタンインドの両国で13日、同時デモが行われた。パキスタンのラホールでは労組を中心に1000人が、軍の国境からの即時撤退、米軍の南アジアからの撤退を要求した。インドではデリーやカルカッタなどでデモが行われ、パキスタンとの直接対話、ブレアの介入反対などを訴えた。
 キューバで12日、米国の経済封鎖に抗議して、数百万人の大規模なデモが全国各地で行われた。ハバナでは百万人のデモの先頭にカストロ議長が立ち、「社会主義万歳」のコールがわき起こった。
 韓国のソウルで十日、「6月民主化抗争15周年」記念の集会とデモが行われ、市民団体や各界の代表が「反戦平和、平和統一」を掲げた2002人宣言を発表。日本の有事法制推進や米国の戦争政策を強く批判した。
 ブッシュ米政権の核使用政策などに抗議して、核廃絶をめざす集会が12日、米国のニューヨークで開かれ、1000人が参加した。

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