20020625

日本のできごと

2002.06.10〜2002.06.19


日本のもくろみ失敗の日米財務相会談
 塩川財務大臣とオニール米財務長官が6月14日、カナダのハリファクスでのサミット財務相会合に先立って会談した。塩川は日本経済の「底入れ」と、投資減税、構造改革特区創設などの経済活性化策を表明した。オニールは通りいっぺんの「歓迎」を示すにとどまった。米国は、減税規模の小ささと政府税調、自民党税調などが主導権を争うわが国の「税制改革」論議など、構造改革・景気回復で政府・与党を一致させられぬ小泉政権の力を見透かしているとみられる。米国の支持を取り付けて改革を進めたい小泉政権だが、そのもくろみは成功しなかった。

福田発言にアジアの批判相次ぐ
 福田官房長官の「非核3原則見直し」発言に対し、アジア各国から批判の声が続いている。中国の解放軍報は10日、「『非核三原則』を選ぶのか、それとも『核武装』を選ぶのか」と、日本政府の姿勢に「深い憂慮」を示す論評を掲載した。同紙は、ロシア、韓国などからの批判も紹介している。また、シンガポールの聯合早報も10日、「『核武装』の観測気球放つ日本」と題する論評記事を掲載、福田発言は「『平和憲法』を空洞化させるばかりか、発言を利用して戦争のための旗や太鼓を再び整えようとするものだ」と批判している。

小泉政権の窮地助ける民主党
 鈴木宗男衆議院議員が19日、あっせん収賄容疑で逮捕された。小泉政権は、健康保険法「改正」案の衆院委員会強行可決や防衛庁「リスト問題」などで国会運営が難しくなり、苦しまぎれに7月末までの会期延長を強行したが、有事法制3法案や郵政公社化法案など「重要法案」の成立にまったくメドが立たない。野党は「リスト問題」に反発して国会の審議を拒否、小泉政権への攻勢を強めた。ところが、独り民主党は鈴木逮捕を口実に審議「正常化」に応じ、またも与党を助けた。この裏切りには、他の野党をはじめ民主党内からも批判が続出、執行部は対応に大わらわとなっている。

政権内の対立含んだ「デフレ対策」
 政府・与党は13日、追加のデフレ対策について協議した。政府側は企業の研究開発や投資に対する減税、相続税・贈与税減税などを表明、2003年度税制改正に盛り込み、今年度内からの先行実施を行う予定だ。デフレ対策は4月のG7財務相・中央銀行総裁会議での「国際公約」でもあり、14日からのサミット財務省会合になんとか間に合わせる必要があった。大規模減税を求める与党に対し、小泉政権は30兆円の国債発行枠にこだわり、「対策」は小規模のものとなっている。このため、早くも「効果は限定的」との声が与党内からさえ出ており、深刻なデフレに対する処方せんとはなりえないものである。

諮問会議など、国民負担増を前面に
 経済財政諮問会議(議長・小泉首相)は13日、税制改革の方向などを盛り込んだ「経済財政運営と構造改革の基本方針」(骨太方針第二弾)をまとめた。方針は、所得税累進率の緩和、情報技術(IT)投資優遇税制、道路特定財源の見直し、消費税免税点制度見直しなどを含む。また、政府税制調査会(首相の諮問機関)も14日、基本方針を答申した。答申は配偶者控除の廃止など控除を縮小する一方、消費税率引き上げ、外形標準課税の早期導入などを含み、実施されれば10兆円を超す大増税になる。両答申とも国民各層の負担増を前面に押し出していることに変わりはなく、一方で大企業優遇をさらに進める反動的なものである。(関連記事1面)

失業者切り捨て進める雇用保険料上げ
 厚生労働省は19日までに、現行月収の1.2%である雇用保険料率を、段階的に1.6%に引き上げる方向で検討に入った。引き上げは2段階で実施され、まず10月に0.2%引き上げ、来年7月に完全実施するという。失業者増加による雇用保険収支の赤字を口実としているが、これが実行されれば月収50万円のサラリーマンで月500円の負担増となり、月3500円となる。政府は失業給付の引き下げも実施する方向で、失業者切り捨て策には際限がない。失業者の増加をくい止めることこそ肝心であり、失業を前提に労働者の負担を増やすなど、言語道断である。