20020615

世界のできごと・人民のたたかい

2002.05.30〜2002.06.09


ブッシュが先制攻撃も広言
 ブッシュ米大統領は6月1日の演説で、「悪の枢軸」と決めつけた国に対して先制攻撃を仕掛ける方針を強調した。名指しはしていないが、イラクへの攻撃を想定している。ブッシュは、6日にはテロ対策を統括する「国土安全保障省」を来年発足させ、国内の体制も整備すると演説した。国土安全省は人員17万人で、国防総省に次ぐ規模のものとなる。また米国は、89年以来停止していた核弾頭の起爆に使うプルトニウム・ピット製造を再開する方針を発表、7日にはブッシュ政権下では4回目となる臨海前核実験を行うなど、軍事をエスカレートさせている。また、イラク攻撃の支持取り付けのため、ウルフォヴイッツ米国防副長官はフィリピン、インドネシアを訪問した。米国の要求に対し、インドネシアのマトリ国防相は、「米軍に国軍の訓練をやらせたり、反テロ作戦の援助はあおがない」と、米軍支援を拒否した。ブッシュの強硬策は、米国の危機感と焦りを表しているが、国際社会の反発を増幅させるのは必至で、成功する保証はない。

新たな安保模索のアジア信頼醸成会議
 カザフスタンで4日、アジア信頼醸成措置会議(CICA)が開かれた。会議には江沢民・中国国家主席、プーチン・ロシア大統領ら中央・南アジア、中東地域の16カ国・地域の首脳が参加した。会議では、「アジアにおける平和と安全、安定の促進に向けた協力体制を強化する」との決議を採択し、大量破壊兵器の不拡散、核軍縮を課題としてあげた。また今後について、首脳会議を4年に1回、外相会議を2年に1回開くこと、事務局を設置することを決めた。CICAは、欧州安保協力機構(OSCE)のアジア版をめざすとして92年にカザフスタンが提唱、今回初めての会合となった。モスクワ条約締結で米国の軍門に下ったロシアが、一方ではアジア中東地域への影響力を確保したいとの思惑や、米国をけん制したい中国の思惑などが会議の背景にあるが、各国の協調体制を築けるかどうかは今後の課題である。

決裂した環境開発サミット準備会合
 環境悪化と貧困の解決をテーマに10年に1度、今年は8月に開かれる「世界首脳会議」(環境開発サミット)の準備会合がインドネシアで8日開かれたが、大半の議題で合意できず決裂した。会議は10年前のサミットで決まった行動計画を検証、促進策を文章として確認する予定だった。決裂した原因は、先進国に対する途上国の反発と米国のごうまんさであった。グローバリズムの進展で不平等が拡大、途上国の債務は10年間で34%増えた。途上国は、改めて資金支援と貿易上の保護を求めたが、米国は、「(途上国の)国内民主化、行政の透明性」などを援助の条件として文章に盛り込むよう主張した。これに対し途上国は、援助を道具にした米国の干渉に強く反発した。


   イタリアのローマで6月3日、イタリア最大労組の労働総同盟組合員が1一時間のストを打った。解雇規制の一時停止問題で、5月31日に行われた政府と労組との交渉が、一時停止案の撤回があいまいなままに終わったことに抗議するもの。金属機械関係の労働者を中心にストが行われ、農業、繊維関連などの労働者も自発的にストに入った。
 インドネシアで、6月8日行われた環境サミット準備会合会場前で、NGOのメンバーらが反グローバリズム、地球環境保護などを訴え、抗議行動を展開した。

ページの先頭へ