20020615

日本のできごと

2002.05.30〜2002.06.09


「非核3原則」否定発言に広がる反発
 福田官房長官は5月31日、わが国の国是である「非核三原則」について「将来的に見直すこともありうる」と発言、核兵器の保有についても「法理論的にはもてる」との見解を明らかにした。小泉首相も福田の発言について「騒ぎすぎ」と居直った。こうした政府の姿勢に対して、国会でも追及されており、小泉の国会運営はいっそう窮地に陥っている。アジア各国も、「米国の肩に乗り、軍事的分野を拡大しようとしている」(韓国・朝鮮日報)と、いっせいに福田の発言に批判を浴びせている。福田の発言は軍事大国化を狙うわが国支配層の策動の一端を示したものである。被爆国であるわが国の国民感情をを踏みにじり、アジア各国に脅威を与え国益を損ねる福田発言を許してはならない。  

有事法制に地方自治体から批判続出
 衆院有事法制特別委員会は有事法制関連3法案についての地方公聴会を6月5日から開始した。初日は仙台、鳥取両市で行われたが、与党推薦人からも「慎重審議を」などとの発言もあるなど、不安や疑問の声が改めて浮き彫りとなった。鳥取会場では、自民党推薦の片山県知事が「手足を縛られたまま、自治体が責任だけを背負わされるのは耐え難い」と発言、仙台会場でも与党推薦人から「(自衛隊の)暴走をどう止めるか議論し、国民に分かるように」と政府・与党に注文をつけた。翌日の佐世保会場の公聴会でも光武市長が「国民の安全確保が先送りされている」と指摘した。九州地方知事会(会長・平松大分県知事)も5日開いた会議で「(地方自治体について)具体的な内容が明確になっているといえない」「地方公共団体の意見を聴取する場を設け、その意見を十分尊重すること」とした特別決議を採択した。全国市長会議(会長・青木立川市長)も6日、総会を開き、慎重審議などを求める要求書を決めた。

自由党大会、「保守2大政党制」策す
 自由党は3日、第5回定期党大会を開催、野党の連携強化による政権交代などの方針を決めた。小沢党首は「野党共闘」について「社民党も(村山政権時に)自民党と組んだのだから、政権協議はできる」と発言、社民党をも巻き込んだ政界再編に意欲を示した。またこの間、小沢は民主党との連携を推進、民主党も「小沢さんと政権をつくれる」(菅幹事長)とこたえている。小沢の動きは自公保・小泉政権が窮地に追いやられている中で、財界が求める2大政党制への移行をつくることが狙い。自由党は有事法制について政府案以上に反動的な法案を提出するなど、その危険性は明らかであり、小沢の策動は警戒を要する。

実態と違うGDPプラス成長
 内閣府が7日発表した国民所得統計速報によると、2002年1〜3月期の国民総生産(GDP)は前期比1.4%増となり、4期ぶりのプラス成長となった。また、年率換算では5.7%増となった。個人消費と輸出の増加が要因とされているが、個人消費統計の基礎となる家計調査はブレが大きく、「GDP伸び率が水増しされた可能性」があるとも指摘されている。一方、設備投資などは企業収益の悪化などで、前期比で3.2%減と大幅に減少している。財界からすら「われわれの実感とはかけ離れた結果」(山口・日商会頭)と指摘されるなど、国民の生活実感とはほど遠い「プラス成長」だ。

町村議長会が「合併」批判の決議
 全国町村議会議長会議(会長・安原広島県神辺町町議会議長)は5月30日、会長会を開き、政府の進める強引な「市町村合併」を批判する決議を採択した。決議では「合併が目的化しており、小規模町村への合併圧力は強い」「地方分権の推進につながるものか疑問」と、予算措置も含めた小泉政権による強引な市町村合併策動を批判、「住民と行政の関係を考えたとき、小規模町村であり続けることも選択の道」としている。

農業委員会大会、農政充実訴える
 全国農業委員会会長大会が30日、東京で開かれた。大会では牛海綿状脳症(BSE)被害対策、所得安定対策の導入などの決議を採択した。山田・全国農業会議所事務局長は「農家は厳しい経営状態にある」と訴え、農政の抜本的充実を求めた。