20020605

世界のできごと・人民のたたかい

2002.05.20〜2002.05.29


条約締結、米国の軍門に下ったロシア
 プーチン・ロシア大統領とブッシュ米大統領はモスクワで5月24日、両国の戦略核弾頭を2012年までに現在の3分の1に減らす戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)に調印した。同条約では削減した核弾頭の備蓄も認めており、核軍縮はまやかし。だが、ロシアは弾頭を備蓄する経済力がないため、「核の均衡」は完全に崩れて米国の核優位が確定する。ロシア国内では「対米不平等条約を受け入れた」との不満の声も出ている。また、ロシアは28日、北大西洋条約機構(NATO)とローマで首脳会議を開き、テロ対策などに対する共同の意思決定機関である「NATOロシア理事会」の創設に調印した。米国の軍門に下ったプーチンは、経済の建て直しやグローバル化に対応するために、米欧との協調の道を選択した。

ブッシュ米大統領が欧州歴訪
 ブッシュ大統領は22日から、ロシア、ドイツ、フランス、イタリアを歴訪し、欧州安保の将来像や中東情勢をめぐり意見交換した。ロシアでは、イラク問題での対話、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟、カスピ海の石油開発協力などをうたった共同宣言を発表した。ドイツ、フランス、イタリアでは各国の軍備増強を訴え、各国首脳も協力を約束、「悪の枢軸」発言以降悪化していた欧州連合(EU)諸国との関係修復を図った。しかし、ドイツ、フランスではブッシュ訪問に対して、国民の大規模な反米デモが行われ、対イラク戦争策動に反対した。

印パ緊張、パキスタンがミサイル実験
 インド、パキスタンの国境紛争が続くカシミールで、両軍の衝突が激化する中で、パキスタンは25日から3回にわたり、中距離ミサイル実験を行った。パキスタンはほぼインド全土を核ミサイルの射程内に入れた。インド国防相は「パキスタンが核兵器を使うならインドもためらわない」と核使用まで言及するほど、両国は緊張状況にある。英国が調停に乗り出したがうまくいっていない。米国は核優位を保つため、核拡散防止にやっきになっているが、印パの核開発競争を止めることができないでいる。核保有国同士の紛争は、米国中心の世界秩序を大きく揺さぶるものだ。


  韓国の民主労総は業種別の賃上げ交渉の実施などを要求して22日から段階的にストに突入。第1弾として、金属や化学繊維業界の労組3万5000人がストに入った。24日にはタクシー労組1万人がストに加わった。民主労総は「政府が労組に弾圧を行うなら、サッカーW杯に関係なく、強力なストを展開する」を警告。26日には民主労総傘下の組合員ら2万人が、賃上げや週40時間労働制、公営事業の民営化反対などをかかげてソウル市内をデモ行進した。
 ブッシュ米大統領の訪独前日の21日、ドイツのベルリンで米国の戦争政策に反対するデモが行われた。22日にもベルリンで2万人など、60都市で米国の対イラク戦争政策に反対のデモや集会が開かれた。
 フランスでは26日、ブッシュ大統領の訪仏にあわせて、平和団体など約50団体が米国の環境政策やイラクに対する強硬姿勢に反対するデモを行った。パリでは5000人が、カーンでは1000人が抗議行動に参加した。
 オーストリアの地方バス運転手らが29日、政府の民営化計画に反対して24時間のストを行った。96年の歴史の中で初めてのストとなった。
 アルゼンチンで22日、ドゥアルデ政権の緊縮財政政策に反対して、大幅賃上げを要求する労働者の半日ストが行われた。ブエノスアイレスではトラック運転手4000人がデモ行進し、1カ月に2ケタ台を記録するインフレに見合った大幅賃上げを求めた。

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