20020605

日本のできごと

2002.05.20〜2002.05.29


組織的に思想調査行う防衛庁
 海上自衛隊が、情報公開法に基づき請求を行った人物の身元や信条を調査し、リストにしていたことが5月28日、明らかになった。リストには「反戦自衛官」などの記述がある。リストは配布・閲覧されていたことが判明しており、防衛庁が組織ぐるみで国民の思想調査を行っていたことになる。この問題は、国会に提出されている個人情報保護法案などのメディア規制法案、有事法制3法案の審議に影響することが必至で、国会運営にも不利に働くなど小泉政権に打撃となった。各種世論調査でも支持・不支持の逆転が相次ぐなど、小泉政権に対する国民の不信はさらに高まっている。

マハティール首相、EAEGを再提唱
 国際会議参加のため来日したマレーシアのマハティール首相は21日、講演を行い、単純な「中国脅威論」を排すとともに、巨大な中国市場と共存する「東アジア経済グループ」(EAEG)を提唱した。首相は「EAEGは東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日本、中国、韓国)という形で実現している」とも語った。首相は以前もEAEGを提唱したが、米国の反発を受け東アジア経済協議体(EAEC)と提唱し直した経過がある。提唱の背景には、アジア経済が97年の経済危機から立ち直りはじめたことがあり、アジアと共生すべきわが国の進路にとって示唆に富む提唱だ。一方、小泉首相は同日、「中国は国際社会の普遍的価値を尊重すべき」と、米国のお先棒を担ぐ干渉発言を行いアジアの声に背を向けた。

政治力強化もくろむ日本経団連発足
 経団連と日経連が統合して28日、日本経団連が発足した。両団体統合により、加盟企業は従業員ベースで経団連の4倍と巨大化した。また、政治家との交流のための「企業人政治フォーラム」会員を、現在の2700人から5万人規模にすることをめざすという。会長に就任した奥田・トヨタ会長は、現行約40%の法人税を5%程度引き下げることを求め、さらに93年来廃止されていた政党への企業献金あっせんを再開することを示唆した。日本経団連の発足は、団体会費などのコスト削減を図るとともに、グローバル化に対応する策として、よりいっそう財界主導の政治支配を進めることをもくろんだものである。

47%増、いっこうに減らぬ不良債権
 大手銀行13行の不良債権残高が27兆1700億円と、昨年比47%も増加したことが24日、明らかになった。多くの中小零細企業を倒産・廃業に追いこんで債権回収を進めながら、新たに10兆円もの不良債権が発生している。不良債権が「汲めども尽きぬ」状況で、2005年3月期までに不良債権処理にメドをつけるという政府の「再生シナリオ」は、すでに達成不可能で破たんしている。

上場企業全体で赤字を記録したものの
 上場企業の2002年3月期連結最終損益が最終赤字となることが、24日までに明らかになった。3割の企業が赤字となり、企業全体でも1300億円の赤字というかつてないもの。会計制度が単独決算だった過去を含めても、78年以来の大幅落ち込みである。中でも、製造業の利益は前期比96%も減少した。だが、この期間に行った大規模リストラにより、2003年3月期は6割以上の利益増が確実だともいわれる。労働者を大量に街頭に放り出し、中小企業を倒産・廃業に追い込んでの「回復」は許されず、国民は「赤字」キャンペーンにだまされてはならない。

アジア移転進める自動車業界
 わが国の自動車メーカーがアジアでの生産を拡大する傾向が鮮明となっていることが、28日までに分かった。アジアでの日本車生産は5年ぶりに年間200万台を突破することが確実で、約630万台といわれる海外総生産台数の約半分を占める北米地域に次ぐ勢い。中でもトヨタはアジアでの生産能力を前年比5割以上増加、ホンダも来年までに約6割増加させる予定だという。コスト削減をはかるとともに、中国などアジア市場の拡大に対応するのが狙い。しかし、こうした「グローバリズム」に基づく企業活動が進めば、大企業だけもうけて日本国内の生産はますます空洞化し、労働者や下請けには犠牲が押しつけられる。