20020525

日本のできごと

2002.05.10〜2002.05.19


瀋陽領事館事件、強まる中国敵視策動
 中国・瀋陽の日本領事館での「亡命事件」なるものについて5月12日、「中国への経済援助を停止せよ」(江藤元建設相)など、政府・与党から中国敵視をむき出しにした発言が相次いだ。民主党も「中国側の謝罪を求める」(鳩山代表)など、野党各党も政府の「弱腰」を批判、中国敵視の声に唱和している。しかし、この事件は韓国の組織が巧妙に準備したものであり、真相もいまだ明らかになっていない。先の小泉首相の靖国参拝といい、支配層の中国敵視政策には警戒が必要だ。

米軍支援延長へ、きりない対米協力
 政府は16日、安全保障会議を開き、テロ特措法に基づいて実施されているインド洋での海上自衛隊の米軍支援期間を11月まで半年間延長することを決めた。これは、米国側の要求によるもので、さらにイージス艦派遣さえ進められている。米国が対イラク戦争を公言している中での派遣延長は、自衛隊が米軍のイラク攻撃に実質的に協力する危危険性もはらんでいる。わが国は米戦略に際限なく貢献させられることになるもので、断じて許せない。

政府判断で有事法制発動、強まる反発
 有事法制関連法案に対して、各地の自治体で憂慮と反対の声が出ているが、17日には三重県議会が、都道府県議会として初めて法案撤回を求める決議案を採択した。その他、市町村議会での反対決議も続々とあがりつつあるなど、有事法制をめぐっては国民各層の間で急速に反対の声が広がっている。また、国会での議論では、政府の危険な狙いや思惑がますます明らかになっている。福田官房長官は16日、「有事」の際の国民生活や経済について、73年の石油ショック当時につくられた経済規制の法律を適用する考えを示した。事実上、有事の際に物資の生産・流通を政府が統制下におくもの。また福田は、「指定公共機関」に、HNKに加えて民放各社も加えることを示唆した。国民の諸権利を奪い、いっそうの対米追随、アジア敵視の方向に導く有事法制を許してはならない。

沖縄復帰30周年、県民の願いに反して
 沖縄の本土復帰30周年を記念した政府主催の式典が19日、沖縄県で行われた。小泉首相は基地問題について従来の政府見解を繰り返すのみで、沖縄県が改定を求め続けている日米地位協定についても、「運用見直し」を繰り返すのみ。また、同式典でべーカー米駐日大使は基地に苦しむ県民の声をよそに在沖米軍基地の「重要性」を強調、 県民の神経を逆なでした。復帰30周年を迎えた沖縄だが、基地の整理・縮小はいっこうに進まず、米軍基地が原因の事件・事故も後を絶たない。27日には、嘉手納町主催による飛行機事故に抗議する超党派の集会が開かれる予定だ。

厚労省、失業手当削減狙う
 厚生労働省は16日、失業者手当給付額を離職前の賃金の6割から5割程度に削減することを柱とした雇用保険制度の改悪案をまとめた。現行では、失業すると前勤務先の賃金の6〜8割を最長330日分給付される。また「失業認定の厳格化」などと、いっそう失業手当を受けられる失業者を絞り込もうとしている。現在でも失業者は耐え難い「痛み」をかぶり、生活が困窮している。さらに失業手当を削減するなど、言語道断である。

トヨタ、労働者を絞り1兆円の利益
 トヨタ自動車は13日、2002年3月期連結決算を発表した。経常利益は14.5%増の1兆1135億円となるなど、売り上げ・利益の各指標でいずれも過去最高を記録した。このように利益を上げながら、トヨタは今春闘ではベアゼロを組合に提示した。労働者や下請けへリストラを強要してきた結果の利益であり、あくなき利潤追求のトヨタの本質が示されている。