20020515

世界のできごと・人民のたたかい

2002.04.10〜2002.05.09


仏大統領選、反失業掲げ極右が決選へ
 フランスで5月5日、共和国連合のシラクと国民戦線のルペンが争う大統領決選投票が行われ、シラクが8割を超える得票で再選された。社会党(ジョスパン候補)、共産党候補は惨敗した。極右が台頭した背景には、社会、共産などの与党がEU統合にともなう国内改革を進め、国民に犠牲を強要してきたことがある。ルペンは失業問題の解決のために「反移民」や反グローバル化を掲げ、失業者や低所得者の支持を集めた。フランスでは3月の失業率が9.1%となるなど深刻で、不況やEU統合による改革が国民生活を圧迫している。極右のルペンの台頭に危機感を募らせた国民は、反ルペンのデモを各地で展開した。左派が一定の支持を集めたことも注目される。 

江中国主席が中東、アフリカを歴訪
  中国の江沢民国家主席は4月13日にリビアを、14日にナイジェリアを訪問した。両国とも中国の国家主席が訪問するのは初めて。さらに江主席は17日にイランを訪問し、ハタミ大統領と会談した。リビアとは鉄道や海運での協力事業で合意。イランとはエネルギー、鉄道、通信など六項目の協力協定に調印するなど、石油資源確保のために経済、貿易の進展をはかった。ハタミ・イラン大統領が米国の中東政策をイスラエル寄りだと批判したのに対し、江主席は、「共通の認識だ」とこたえた。江主席がリビアやイランを訪問した背景には、「悪の枢軸」発言などを繰り返す米国をけん制する狙いもある。

中東和平、米国の調停が失敗
 イスラエルによるパレスチナへの軍事攻撃が拡大する中で、パウエル米国務長官とシャロン・イスラエル首相との会談が4月12日に行われた。シャロン首相はパレスチナ自治区からの即時撤退を明言せず、調停は失敗した。米国はイラク攻撃の下準備として、チェイニー副大統領、ジニ特使に続いてパウエルを中東に派遣したが、イスラエルへの抑えがきかず、威信は落ちた。イスラエル軍は翌13日、パレスチナ自治区ジェニンの難民キャンプを襲って多数を虐殺したうえ、ジェニン虐殺調査団の受け入れを拒否するなどますます横暴となっている。パレスチナ自治政府のアラファト議長は5月2日、イスラエル軍の撤退によって1カ月ぶりに監禁を解かれた。こうした中で米国の上下両院は2日、イスラエルを支持する決議を圧倒的な多数で可決するなど、親イスラエルの姿勢をますます強めている。

ベネズエラのクーデターに米国が関与
 ベネズエラで4月11日、クーデターによるチャベス政権の転覆がはかられ、一時カルモナ財界団体会長を大統領とする暫定政権がつくられた。これに対し、ブラジルなど中南米諸国から暫定政権に対する非難が集中し、市民もチャベス大統領の復帰を求めるデモを行った。13日、チャベス大統領を支持する軍がクーデター部隊を制圧、拘束されていた大統領が復帰した。米国はクーデターによる暫定政権を容認する姿勢を見せ、米政府当局がカルモナと接触していたことを認めた。中南米諸国は事件の裏に米国の影があると指摘した。キューバとの友好など自主外交を進めるベネズエラに対し、同国から大量の石油を輸入する米国が、石油の確保と米国の意のままになる政権の樹立を狙ったと見られる。

米国の失業率が6%に上昇
 米労働省は5月3日、4月の失業率が6.0%となり、前月に比べて0.3ポイント上昇したと発表した。6%台に乗るのは7年8カ月ぶり。4月の製造業の雇用者数は前月より1万9000人減少、建設業は7万9000人減少で、リストラによる雇用調整が続いている。民間の調査機関よれば、米企業の4月の人員削減は11万2649人で前月比10%増加。米経済の回復がとりざたされているが、「雇用なき回復」であり、経済の先行きは不透明といえる。


   ● 世界のメーデー  ドイツ各地で、労働総同盟などが呼びかけ50万人が参加した。参加者は「グローバル化にルールを」「6.5%の賃上げを」などのプラカードを掲げた。ライプツィヒでの金属労働組合の集会では、ストライキを前に、失業か賃金抑制かの選択を迫るシュレーダー首相に対して、労働者からのブーイングが起きた。
 イタリア・ローマでは左派組合による集会に60万人以上が参加。ボローニャでも3大労組共催の解雇規制擁護デモに、15万人が参加した。
 ギリシャでは1万人が参加し、イスラエルとブッシュ大統領の戦争政策に抗議した。地方では公共交通関係労組がストを行い、アテネの市役所や銀行は閉鎖となった。
 スペインでは全国75都市で、労組を中心に「失業給付改革」反対の抗議行動が行われた。
 オーストリアでは、ウィーンのメーデー集会に10万人以上が参加。右派連立政権による医療年金制度改悪、大学学費有料化、失業対策の遅れなどに抗議した。
 メキシコでは主要労働組合が共催で、フォックス政権の新自由主義改革に反対して全国でデモを行った、メキシコシティでは十数万人の労働者が参加した。
 ロシア・モスクワの「赤の広場」では、労働組合連盟の集会が行われ、20万人が参加。同時にマルクス広場では共産党支持者十数万人が赤旗を掲げてメーデーを祝った。
 韓国では9都市で、民営化反対などを要求したメーデー集会に12万人の労働者が参加した。民主労総は労働条件改悪反対、民営化阻止、米軍支配反対などを掲げた集会を開催し、2万人以上が参加した。
 フィリピンでは主要労組あわせて10万人がデモに参加。マニラでは5月1日運動(KMU)が集会を開き、1万5000人が参加した。
 インドネシアのジャカルタでは1万人が集会。メーデー休日化を求める国会前デモには5000人が参加した。
 イタリア全土で4月16日、3大労組(1100万人)による8時間のゼネストが行われた(関連記事4面)。
 賃上げ6.5%を要求するドイツ金属労組(IGメタル・270万人)は18日、全国400カ所以上の工場で時限ストを行った。ストには13万5000人の労働者が参加した。また5月6日から南西部バーデン・ビュルテンベルグ州の自動車工場などで、7年ぶりの大規模ストに突入した。
 米国ニューヨーク市で4月12日、イスラム系団体など数千人がデモ行進した。参加者は「イスラエルはパレスチナ人を殺すのをやめろ」と訴えた。
 ホワイトハウス前で20日、ブッシュ政権の戦争拡大政策に反対する大集会が開かれ、全国から約3万人が参加した。同時に、グローバリゼーションに抗議する集会も開かれ、合流した5万人のデモ隊が大行進を行った。サンフランシスコでも平和大行進が行われ、3万5000人の市民がブッシュの戦争拡大、イスラエルのパレスチナ侵攻に抗議の声をあげた。
 英国のロンドンでも13日、パレスチナ連帯組織の呼びかけで、イスラエル軍の即時撤退を求める集会とデモが行われた。行動には労組や平和団体など1万5000人が参加した。
 韓国・ソウルの日本大使館前で24日、元従軍慰安婦などが小泉首相の靖国参拝に激しく抗議した。
 ソウルで三十日、ゼネラル・モーターズが大宇自動車を買収する調印式に労働者150人が乗り込み、会場を占拠し売却反対を訴えた。米マイクロン・テクノロジーによるハイニックス半導体の買収も、労組や従業員の強い反発で白紙撤回となった。国内企業を外資につぎつぎと売り渡す「構造改革」への怒りが高まっている。
 金融混乱が続くアルゼンチンの全銀行は22日、預金流失を防ぐために営業を停止した。これに対して市民たちは24日、ブエノスアイレスで銀行預金引き出し制限に反対するデモを繰り広げた。

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