20020515

日本のできごと

2002.04.10〜2002.05.09


亡国の有事法制3法案を国会へ提出
 政府は4月16日、有事法制関連3法案(武力攻撃事態法、改正安全保障会議設置法、改正自衛隊法)を閣議決定し、国会に提出した。同法案は首相権限の強化を図るとともに、国民や地方自治体、指定公共機関に対して、自衛隊による物資保管命令など「協力義務」を課せるようにし、従わない場合には処罰するなどというもの。その本質は、米国が引き起こす戦争に国民を動員させることを狙い、日米安保をいっそう強化・補完するものである。だが、協力義務を課される自治体からは「憲法の理念を尊重し、地方自治体の意見もふまえるべき」(土屋埼玉県知事)、「国が説明責任を果たしているか疑問」(太田大阪府知事)など批判・憂慮する声があり、「政府の説明は不十分」とする都道府県知事は41知事にも及んでいる(NHK)。さらに、与党の中でさえ慎重論がある。また、「戦争できる普通の国家への一歩」(韓国・朝鮮日報)、「日本が軍事行動を拡大する突破口になりうる」(中国・人民日報)など、アジア各国からも反発の声が上がっている。

新潟、徳島の選挙で小泉批判の嵐
 4月28日に投開票された参院新潟補選と徳島知事選で、自民党などの推す候補者が敗れる結果となった。衆院和歌山補選では与党が辛くも勝利したものの、支持率の低下と共に補選などでの敗北は、国民の不信などにより小泉政権が末期症状にあることを示した。与党敗北の背景には、長引く不況と国民生活に苦難を与える小泉改革がある。さらに、前秘書逮捕による井上前参議院議長の辞職、秘書が逮捕された鈴木宗男衆議院議員の問題など「底なし」の政治腐敗もまた、小泉政権に対する怒りを高めている。先の横浜市長選と併せて、国民の小泉批判が噴出したものである。

靖国参拝で中韓と対立強める
 小泉首相は4月21日、靖国神社に参拝した。これに対して、中国の江沢民国家主席は29日、「絶対に許すことができない」と厳しく批判した。また、江主席は小泉首相の今秋訪中に対しても「複雑な思い」と述べ、27日から予定されていた中谷防衛庁長官の中国訪問は中止された。韓国の金大中大統領も同様の批判を行っており、「サッカーの日韓共催ワールドカップを控え、小泉首相は韓国が強い対応を取れないと踏んだのでは」など、対日不信が高まっている。小泉は昨年の靖国参拝後に訪中した際、過去の侵略への「心からのおわび」を口にしており、今回の参拝強行はそれをほごにしたもので、国際的にも責任は重大である。終戦の日を避けた参拝で内外の反発を回避しようとした小泉の姑息(こそく)な態度は、国際的にも見透かされている。

米国のお先棒担ぐ中東外交が失敗
 イランを訪問した川口外相は5月4日、ハラジ外相らと会談した。両国はアフガニスタン復興支援などで合意したが、川口外相が包括的核実験禁止条約(CTBT)批准などを求めたことに対し、ハラジ外相は「現在の中東情勢が許さない」と拒否。ハタミ大統領も、同国を「悪の枢軸」と呼ぶ米国との関係について「脅迫に屈することはない」と明言した。また、自民党の山崎幹事長は3日、パレスチナ自治政府のアラファト議長と会談、自爆テロの停止を求めた。だが、このごう慢な要求は議長から「挑発しているのはイスラエル側」と反論されて終わった。米国は、イランとのパイプを持つ日本にイランへの関与を求めており、川口外相は忠実にそれに従った。だが結局、徹底して米国のお先棒を担ごうとするわが国外交が中東地域でまったく相手にされないことが、改めて明らかになった。

小沢との共闘に走る民主党
 鳩山民主党代表と小沢自由党党首は5月3日、小泉内閣の打倒を呼びかける連名の合意文書を発表した。両党は、選挙協力強化や外交・安保問題での政策協議開始なども進める方針だ。「ポスト小泉」の政界再編を見越した動きだが、彼らの政策は国民犠牲の「真の改革」を主張する反動的なものである。鳩山、小沢両人の連携は、財界が支配維持のために狙う保守2大政党制の一方を担おうという動きであり、およそ国民が期待できる政治勢力の結集にはなりえない。 またも対中国けん制を策す民主党  民主党の菅幹事長は5月4日、中国の上海での日中関係に関するシンポジウムで講演し、「台湾の国連加盟を容認すべき」と発言した。菅の発言は、中国を唯一の正当政府と認めた日中共同声明などに反すると共に、公然と中国の内政に干渉する反動的なものである。その狙いは、台湾問題を材料に中国揺さぶりを策する米ブッシュ政権のお先棒をかつぐもの。自民党以上に対米追従する民主党の本質がまたもあらわとなった。

日朝赤十字会談が2年ぶりに再開
 中国・北京で行われていた日朝赤十字会談が4月30日、日本人妻の里帰り実施や、終戦前に日本で行方不明となった朝鮮人の安否確認などで合意し終了した。同会談が実施されるのは約2年ぶりのこと。会談で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)側は、日本人行方不明者の捜索を再開したことを報告、わが国に対して食糧支援を求めた。だが、「拉致」キャンペーンや「不審船」引き上げなど、わが国支配層は米ブッシュ政権の「悪の枢軸」論に唱和した反北朝鮮宣伝を繰り返している。誠実な戦後補償などに基づく、早急な日朝国交回復こそが求められている。

郵政民営化めぐり与党内対立深まる
 政府は5月7日、来年4月に封書・はがき(信書)の集配を民間開放するための「信書便関係法整備法案」など、郵政関連法案を閣議決定した。すでに4月26日、郵政3事業を国営公社に移行する「日本郵政公社法案」などを閣議決定しており、郵政事業への民間参入のための法案が出そろった。だが、「郵政族」を中心とする自民党内の根強い反対により、党総務会の承認なしに閣議決定と国会提出が行われるなど、自民党内の対立が深まっている。さらに、運輸大手のヤマト運輸が参入を見送るなど、郵政民営化でなんとか「改革の実績」をあげたいとあせる小泉政権だが、そのもくろみの保証はどこにもない。

米国の「格付け」で先進国中最低に
 大手銀行の2002年3月期の不良債権が9月末比で4兆7000億円増加したことが4月12日、明らかになった。また、2001年度の企業倒産は件数・負債額ともに戦後2番目の水準となり、倒産件数は前年度比5.9%増の2万52件、上場企業の倒産も過去最多の21件となった。これらを受け、米有力格付け機関は15日、わが国の長期国債格付けを「AA」から「AAマイナス」に引き下げたと発表した。これで、日本国債の格付けは先進国中で最低となった。オニール米財務長官も5月1日、「不良債権の市場売却を早期に」と述べ、いっそうの不良債権処理と規制緩和、構造改革を求めた。米国は勝手に格付け機関を使って日本たたきを進め、改革促進など、日本への圧力を強めている。

雇用への切迫感強まるメーデー
 連合の第73回メーデーが27日、全国で行われ、約90万人の労働者が参加した。中央集会であいさつした笹森会長は「雇用と生活は危機的な状況」などと小泉政権を批判したが、大規模リストラで失業の危機にある組合員に闘いの方針を指し示すことはできないまま。一方、参加した労働者のプラカードなどには、リストラなどの構造改革を進める小泉政権への怒りが目立った。政府・資本との協議で要求を実現しようという連合中央の方針は、根本的な見直しが迫られている。