20020315

日本のできごと

2002.03.01〜2002.03.09


不況と政治不信で小泉政権苦しく
 2002年度予算案が3月6日、与党三党などの賛成で衆議院を通過、参議院へ送られた。だが、8日に発表された昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比マイナス1.2%、年率ではマイナス4.5%となり、3期連続のマイナスとなったことが明らかになった。さらに、鈴木宗男前衆院運営委員長の証人喚問なども加わって、国民の小泉政権への不信が強まっている。景気悪化と国民の不満の増幅、一連の疑惑問題など、小泉政権にとって不利な材料は増すばかりであり、政権運営はますます追いつめられている。

「不審船」引き揚げ問題で中国と対立
 政府は7日、昨年12月に海上保安庁が中国の排他的経済水域(EEZ)内で攻撃・撃沈した「不審船」について、5月以降に引き上げる方針を示した。これに対して中国外務省は、引き揚げに反対する姿勢を再三にわたって示唆している。中国はEEZの環境影響評価(アセスメント)権を持っており、わが国が中国の同意なしに引き揚げを行うことは、国際法上も許されない。一方、米政府は1日までに、同型船が事件前に中国に寄港したと、衛星写真の情報を防衛庁に提出した。この問題では、日米政府が一体となって、中国・北朝鮮に不当な圧力を加えている。わが国の自主的な外交が求められる。

日韓会談、日朝正常化に背を向ける
 川口外相は8日、訪日した韓国の崔外交通商相と会談した。崔外相は朝鮮民主主義人民共和国に対する政策について「米国が北朝鮮と対話するよう勧誘する役割を、日本が果たすべきだ」と述べた。しかし、川口外相は「北朝鮮が何らかの行動を示すことが重要だ」とこたえ、米朝対話の推進に対して積極的な行動をとる考えのないことを明らかにした。そればかりか外相は、安全保障やいわゆる「拉致(らち)問題」などを持ち出し、日朝国交正常化についても背を向ける姿勢を示した。

報道規制につながる「人権保護法案」
 政府は「人権保護法案」を8日、閣議決定した。同法案は、首相の任命による人権委員会が、報道機関などに対し勧告や立ち入り検査を行えるというもの。「報道による人権侵害」を口実に、言論・出版・表現の自由を脅かす危険性が指摘されるなど、多くの問題点がある。すでに、日本新聞協会や日本民間放送連盟などが、反対声明を発表している。

高水準の失業率、学卒者も厳しさ増す
 総務省が1日発表した1月の完全失業率は、5.3%となった。失業者数は344万人で、前年同月比27万人の増加。失業率は、昨年12月と比べ数字の上では低下したが、失業率にカウントされない、非労働力人口は120万人も増加している。これは、厳しさを増す雇用情勢から、求職活動をあきらめた人が多いことを示している。また、都道府県別の年平均失業率も初めて発表されたが、沖縄(8.4%)を筆頭に、大阪(7.2%)、京都(6.3%)と続いている。特に、中小企業が集中している近畿で厳しい数字となった。また、今春の新規学卒者を採用する企業の割合が、89年以降最低を記録したことが同日、厚生労働省の発表で分かった。新卒採用予定があるとした企業の割合を学歴別に見ると、「高卒」が29%(前年同月比マイナス6ポイント)、「大卒理系」でさえ31%(同マイナス七ポイント)など、軒並み減少している。小泉政権は事態の深刻さをまったく認識していないばかりか、失業と倒産をいっそう生み出す「構造改革」路線を進めている。

佐藤工業、会社更生法適用へ
 準大手ゼネコンである佐藤工業(本社・富山市)が3日、会社更生法を申請し事実上倒産した。負債総額はグループ全体で5600億円。公共事業の減少や信用不安の広がりにより受注が激減したのに加え、小泉政権が「不振企業の抜本処理」を打ち出した昨年秋ごろから株価が低迷、経営を圧迫していた。昨年12月に青木建設が民事再生法を申請、今年に入り三井建設と住友建設、さらにフジタが経営統合を決めるなど、「小泉改革」の下で、ゼネコン業界の再編・淘汰(とうた)が進んでいる。

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