20020305

日本のできごと

2002.02.20〜2002.02.28


田中・鈴木問題で小泉ますます窮地に
 衆院で2月20日、田中前外相と鈴木前衆院議院委員長への参考人招致が行われた。田中は小泉首相を「抵抗勢力」と公然と批判、また、鈴木が北方領土への「人道支援策」に不正関与していたなどの疑惑が噴出、小泉政権にとってまたも打撃となった。小泉は鈴木の証人喚問など、疑惑の「徹底解明」で失地回復しようとやっきとなっているが、すでに支持率は軒並み50%を割っている。小泉改革に対する不満の声が田中前外相解任を機に吹き出しており、政権基盤は急速に弱体化してきている。

公的資金注入問題で政権内対立
 政府は経済財政諮問会議で27日、総合デフレ対策を決定した。内容は、不良債権処理の促進、金融機関への日銀特融、株価対策など。だが、その効果は極めて疑わしく、深刻な国民生活を改善させるどころか、不良債権処理で倒産や失業を増大させるという代物。大銀行への公的資金投入も盛り込まれたが、早急な注入を主張する速見日銀総裁らに対して塩川財務相・柳沢金融担当相が反対するなど、金融機関の「3月危機」がいわれる中、政権内で対立を続けている有り様だ。

ダイエー支援に5200億円
 2兆円以上の負債を抱える大手スーパー・ダイエーに対する、UFJ、富士、三井住友3行による新たな支援策が27日、発表された。同社に対しては、1月に4200億円規模の支援策が決まっていたが、さらに1000億円上積みされた。これは、再建策発表後も同社の株下落が止まらないことなどを受けてのもの。内容は、債務の株式化が2300億円と、1700億円の債権放棄など。ダイエーはこれを受けてリストラ加速に動き出し、グループ全体で100店舗を閉鎖、傘下企業の整理などを行う。また、労働者も1400人以上がリストラされる。ダイエー「再建」はわが国の不良債権問題の象徴とされているが、経営難にあえぐ膨大な中小零細企業をよそに、「ダイエーだけがなぜ救済」と、疑問の声も強い。

追随もソデにされ、あわれな日本外交
 米国防総省は26日、「対テロ戦争への国際社会の貢献」と題する文書を発表したが、テロ関連3法を制定してまで対米支援を強行した日本は、支援内容が紹介された26カ国には含まれなかった。わが国政府は、これに「大変遺憾」と表明した。だがこの事態は、貢いでも貢いでも米国に相手にされない、わが国のあわれな追随外交ぶりを示すものとなった。

中教審、教員への締め付け強化を答申
 文科相の諮問機関である中央教育審議会(中教審)は21日、教員免許制度改革を柱とする答申を遠山文部科学相に提出した。内容は、教職経験10年目に勤務成績に応じて研修を実施する、懲戒免職となった教員の免許をはく奪する、中高教師が小学校で授業を行えるようにするなど。生徒の「学力低下」のために「教師の質的向上」をはかるという口実だが、教育内容の面では「日本の伝統・文化への理解」を強調しており、教員への国家主義的管理・統制を強めようというものだ。

自営業者の年金制度を改悪
 自営業者などを対象とする、任意加入の国民年金基金の予定利率が4月から1%引き下げられ3%となることが、26日までに決まった。これに伴い、4月以降の加入者に対しては掛け金が約4000円引き上げられ、月約1万7000円となることが確実。同基金の予定利率は、2000年度分から利率が0.75%引き下げられたばかりだが、超低金利などを口実に「5年に1度」と決められている見直しが前倒しされた。小泉改革によって社会保障制度が続々後退、国民は安心して老後を過ごせない。

「雪印解散」で問われる社会的責任
 BSE(牛海綿状脳症・狂牛病)問題を契機とした牛肉偽装が明らかとなり、経営が悪化していた雪印食品は22日、4月末をめどに解散することを決めた。また、本体の雪印乳業も経営難に陥っており、地元北海道経済を中心に多大な被害を与えている。すでに、パート労働者1000人の解雇など、労働者や中小零細の牛乳販売店に大きな犠牲が押しつけられている。雪印には責任があり、企業の失態を中小業者や労働者に押しつけてはならない。

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