20020225

日本のできごと

2002.02.10〜2002.02.19


日米会談、小泉首相が忠誠誓う
 小泉首相は2月18日、日本、韓国、中国3カ国訪問の一環として訪日したブッシュ米大統領と会談した。会談の中でブッシュ大統領は、イラン、イラク、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を「悪の枢軸」などと名指ししたことについて、改めてイラクへの軍事攻撃を示唆する姿勢を表明、また欧州各国の批判に対しても、意に介さない姿勢を明らかにした。こうした覇権主義まる出しのブッシュに対し、小泉は「大統領の強い指導力を評価」などと最大限持ち上げ、米国の戦争拡大政策について無条件で付き従うことを誓約した。加えて対朝鮮政策でも、「米国との緊密な連携」を強調、関係正常化に背を向ける姿勢をあらわにした。また川口外相はパウエル米国務長官と会談、さらなる日米安保強化と、5月の日米戦略対話の初会合を行うことで合意した。米国にひたすら支持を乞い、忠誠を誓う小泉政権は国際的にも孤立し、まさしく亡国の道を歩もうとしている。 (社説参照)

失業と倒産生む政府のデフレ対策
 経済財政諮問会議(議長・小泉首相)は15日、物価が持続的に下落するデフレに対して、総合対策の骨子をまとめた。内容は、金融庁による特別検査の強化など不良債権処理や銀行の持ち合い株式の受け皿となる銀行等保有株式取得機構に4兆円の資金を準備し、今年前半に集中的に買い取りを進めるなどというもの。しかし、不良債権処理の加速化は倒産や失業をより多く生み出し、デフレを加速させるものである。実際、同日発表された1月の全国企業倒産件数は前年同月比19.3%増の1620件と、戦後最悪の状況となっている。こうした状況になんら手を打たないばかりかいっそう悪化させ、血税投入で大銀行ばかりを救済しようというのが、小泉政権の進めようとしているデフレ対策の実態だ。

医療費3割負担、国民生活に追い打ち
 政府・与党は11日、調整が続いていた窓口医療費の自己負担比率を、現行2割から3割に2003年4月から引き上げることで合意した。しかし、実施については医師会などはもとより、政府・与党内からも根強い異論があり、調整の難航が予想される。加えて、中小企業サラリーマンが加入する政府管掌健康保険料率も、現行7.5%から8.2%に引き上げられ、労働者はもちろん、中小企業にとっても大きな負担増となる。支持率低下に悩む小泉首相は、なんとか「改革」姿勢を打ち出そうと、異常なまでに「三割負担」にこだわった。しかし、今回の決定は、リストラ、失業などで苦しむ国民に対してさらなる負担を強いる「小泉改革」の姿をいっそう浮き彫りにしたものであり、国民各層の反撃は避けられない。

対立再燃必至の道路公団民営化
 日本道路公団などの民営化のあり方などを検討する第三者機関「道路関係4公団民営化推進委員会」設置法案が15日、国会に提出された。同法案は、推進委が公団民営化後の組織形態や採算性などを検討し、年内に首相に報告するとした内容。小泉首相と自民党道路関係議員は、推進委員を国会同意人事としないことで一致した。一方、推進委は個別路線建設の是非については議論しないとしているが、小泉首相は「推進委が事実上の道路建設の決定権を持つ」としており、推進委による道路建設基準の策定をめぐって対立が再燃するのは必至だ。

モノづくり軽視で投資で稼ぐ国に
 財務省が14日発表した昨年の国際収支によると、海外との利子や配当のやり取りの結果を表す所得収支の黒字が、初めて貿易収支の黒字を上回った。貿易黒字は前年比32.2%減の8兆5210億円で、85年以来最低。一方、所得収支の黒字は前年比42.2%増の8兆8258億円と過去最高となった。日本から海外に生産拠点を移す傾向がいっそう顕著になったのと、超低金利で、国内の投資資金が外国の中長期債に向かったことが背景と見られている。所得収支の内訳は、外国債券の利子収入の黒字が6兆6000億円で、大半が米国債投資による収益。所得収支の黒字は国民生活の向上を意味するものではなく、むしろわが国の産業空洞化と、余った資金が米国への投資でもうけるという、反国民的なわが国経済の姿を表すものである。

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