20020215

世界のできごと・人民のたたかい

2002.01.30〜2002.02.09


ブッシュ「悪の枢軸」論に批判相つぐ
 ブッシュ大統領は1月29日の一般教書演説で「大量破壊兵器を拡散しテロを支援している」として朝鮮民主主義人民共和国、イラン、イラクを「悪の枢軸」と名指しした。名指しされた国々は猛反発している。また、フランス、ドイツ、ロシア、中国など「反テロ」で米国と共同歩調をとっている国々からも批判が相次いだ。ロシアのプーチン大統領は31日、「力の一極集中による優位に基づいた国際関係には展望がない」と指摘し、「単独主義」の傾向を強める米国を批判した。フランスのベドリヌ外相は2月6日、「米国は自分自身の解釈、権益に基づいて行動している。欧州は米国の政策に賛成できない場合は米国にはっきりいわなければならない」と述べ、米国と一線を画した欧州の独自性を強調した。軍事力を背景にしたごうまんな米国の覇権主義に、批判と警戒感が急速に高まっている。

米国 年度予算、軍事費急増へ
 ブッシュ米大統領は4日、2003会計年度の予算方針となる予算教書を議会に提出した。歳出総額は前年比3.7%増の2兆1280億ドル。テロに対抗するために「強い軍隊が必要」として、国防予算は14.5%増の3790億ドルで、過去最大の増加となる。反テロを口実に、米国は世界でいっそうの軍事力強化を狙っている。また、予算案は歳出増加と追加減税により800億ドルの赤字財政となり、かつ今後3年間の赤字を容認する方向へ転換した。

ブラジルで反グローバル世界会議
 世界の多国籍企業家や政治家が集う世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が31日からニューヨークで開かれ、グローバル化の推進を議論した。閉会演説でアナン国連事務総長は「経済のグローバル化は貧困や社会悪の根源ではなく、そうした問題を克服する最大の希望をもたらす」と、こんにちのグローバル化擁護者の立場を示した。ニューヨークでは数千人規模のデモが、グローバリズム反対の声をあげた。ダボス会議に対抗して、ブラジルのポルトアレグレで31日、「世界社会フォーラム」が開幕した。約150カ国のNGOや学者が参加し、途上国がかかえる累積債務や貧困問題を議論した。会議参加者たちは31日、約4万人が「平和をめざす行進」を行い、グローバル化によって貧困が拡大していることを訴えた。


  韓国の米大使館前で6日、市民団体が集会を開き、ブッシュが「悪の枢軸」演説で、朝鮮半島で戦争を起こそうとする意図を表明したことに抗議の声をあげた。また、宗教者や文学者たちも抗議声明を発表した。
 フィリピンで31日から、イスラム教武装組織アブサヤフの掃討を狙う米比合同軍事演習が始まった。米国は「第2の対テロ戦」と位置づけ、アブサヤフの本拠地であるバシラン島に上陸し、掃討作戦を実行する。フィリピンでは「憲法に違反し、フィリピンの主権を侵すものだ」との批判が高まり、31日には米大使館前で激しい抗議行動が行われた。
 イタリアの3大労組は5日、公務員労働者の労働協約の更新で、2002〜03年にかけて月額約100ユーロ(約1万1600円)の賃上げをかち取った。3大労組は個人解雇規制の一時停止案への反対とあわせて、労働協約締結を求めるストライキやデモを何度も実施し、要求の9割以上を獲得した。
 オーストリアのウィーンで2日、右派政権に反対するデモが行われ、学生や市民約4000人が参加した。社会保障制度や民主主義の破壊、外国人排斥に抗議の声をあげた。

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