小泉政権運営の支持率、ついに急落
田中外相更迭を契機として、小泉内閣の支持率が46.9%(読売)と、1月中旬から30ポイント以上も急降下した。このため、もともと党内基盤が弱い同政権への不満が一気に噴き出している。医療費負担増への反発やBSE(牛海綿状脳症)問題で武部農相の辞任を求める声などが与党内からもあがるなど、政権は「四面楚歌」(しめんそか)となった。一方、小泉首相は衆院本会議で2月4日、施政方針演説を行い、「デフレ阻止」や不良債権問題の決着、有事法制整備などをうたった。国民犠牲の継続と大企業優遇、外交面でのアジアへの敵対を再表明したものであり、内外の反発は避けられない。一方、株価が一時18年ぶりの低水準を記録、円・国債価格も下落するという「トリプル安」に陥っている。支持率の急落などを背景に、小泉は綱渡りの政権運営を迫られている。
不良債権拡大で「3月危機説」高まる
全国銀行の2001年9月中間決算期時不良債権残高が1日、明らかになった。それによると、不良債権残高は3月期比で3兆1000億円増加し36兆8000億円と、過去最大規模を記録。直接償却などで4兆7000億円を処理しながら、経営破たんなどで、新たに5兆2000億円が不良債権化した。不良債権総額は対貸し出し比で6.2%にも及び、同5.3%から悪化するなど、金融庁が想定した5%の見通しを上回った。不良債権処理が企業倒産を増大させ、それがさらに債権を増やすという悪循環に陥っている。さらに株安が銀行の含み損を増大させるなど、4月のペイオフ解禁を前に、「3月金融危機説」が真実味を増しつつある。
鹿野副代表不正疑惑で民主に打撃
民主党の鹿野副代表が、茨城県下妻市などでの競売入札妨害容疑で逮捕された元秘書に、私設秘書の給与などを肩代わりさせていたことが露見し6日、離党した。この問題では、すでに下妻市長などが逮捕されている。また鹿野は、三重県内の親族企業に健康保険料などを負担させていたことも明らかになっている。鹿野は「真相究明をされるようなことはない」と居直っているが、国会での証人喚問は避けられぬ見通しだ。党の要職にある議員の不正行為であり、自民党と変わらぬ民主党の腐敗体質が明らかになった。
製造業7社に1社が海外移転・計画
中小企業も含めた製造業の7社に1社が、生産拠点の海外移転を実施、あるいは計画していることが、7日までに明らかになった。その約40%は移転先に中国を選択しており、業種別では電気機械が32%を占める。中国のWTO(世界貿易機関)加盟を機に、低賃金を見込んでの進出が多いと思われる。また、高付加価値・ハイテク製品が海外展開を進めているのも特徴。中国の「世界の生産工場」化がうかがわれると同時に、わが国の産業空洞化の深刻さを示している。企業に社会的責任を果たさせ、ものづくりを堅持する国内産業政策が求められている。
賃金低下と雇用不安で消費冷え込む
2001年の全世帯の消費支出は1カ月平均で30万8692円と、実質対前年比で1.8%減少したことが8日、明らかになった。9年連続の減少であり、中でも食費・住居費などが落ち込んでいる。とくに、12月は6.6%も下落、石油ショック直後の74年2月以来の下げ幅を記録した。賃金低下や雇用不安による「買い控え」をはじめ、BSEによる「外食離れ」が影響したと思われる。国民の所得向上をはからない限り、真の景気回復はありえない。
ベアなし春闘、雇用も保証なし
春闘の先頭を切って、鉄鋼労連傘下の大手5労組が7日、要求を提出した。要求はベースアップを求めず、「雇用安定協定」締結を求めている。電機連合なども同様の方針をとっており、三洋電機では基本給の最大20%減で合意するなど、労働者に大きな犠牲を強いるものとなった。経営側はほとんどが協定締結に否定的で、雇用が守られる保証はない。昨年の1人当たり現金給与総額(従業員5人以上)は、2年ぶりに前年比1.2%減少、物価下落率(0.8%)を上回った。労働者の生活難はいっそう増しており、闘う以外に、雇用を守る手段はない。 (社説参照)