20020205

日本のできごと

2002.01.10〜2002.01.29


田中外相更迭劇で、小泉政権に大打撃
 小泉首相は1月29日、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO(非政府組織)排除問題をめぐり対立していた田中外相と野上外務事務次官の更迭を決めた。またNGO排除へ圧力をかけたとされる鈴木衆院議院運営委員長も辞任した。しかし、この真相不明なままの不明朗な「決着」に対し、世論は大きく反発して小泉政権に対する支持率も大きく後退した。小泉政権「人気」の一部分であった田中外相の更迭劇により、小泉政権には発足以来最大の打撃となった。

小泉ASEAN歴訪、米国関与を強調
 東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国(フィリピン、タイ、インドネシア、シンガポール、マレーシア)を歴訪していた小泉首相は14日、最後の訪問国シンガポールで、経済分野など幅広い分野での協力をめざした「日・ASEAN包括的経済連携構想」を提案した。今回のASEAN歴訪は日本の「アジア重視」を印象づけ、ASEANとの関係強化を進める中国をけん制する狙いが露骨だった。また日本のPKO(国連平和維持活動)の「実績」を強調、東南アジアでも自衛隊派兵を含む「貢献」をする意思を明らかにした。歴訪は「アジア重視」とはほど遠いものであり、わが国独自のビジョンをもたず、「米国の関与」ばかりを強調する、対米追随のワクを出るものではなかった。 (社説参照)

大衆増税の「税制改革」検討へ
 政府税制調査会は17日、首相官邸で総会を開き、2003年度からの「税制の抜本改革」の具体化に向けた議論を開始した。総会で小泉首相は、所得税の課税最低限引き下げに強い意欲を示した。また、配偶者控除や扶養補助などの諸控除を縮小・廃止することも狙っている。また、塩川財務相も直間比率見直しについて「間接税にウエイトを置く必要がある」と、消費税の税率引き上げを示唆した。黒字、赤字に関係なく企業に課税する、法人事業税への外形標準課税導入も検討されている。こうした「税制改革」の方向は、国民や中小企業には増税というものであり、許してはならない。

ダイエー支援に怒りの声高まる
 経営危機に陥っていた大手スーパー、ダイエー・グループは18日、UFJ、富士、三井住友の主取引3行から、追加で4200億円の金融支援を受け、約50の不採算店舗を閉鎖、グループ人員計6000人を削減するなどとした、新3カ年計画を発表した。同グループは創業以来の拡大路線が破たん、約2兆3000億円もの巨額な債務を抱えている。また、政府も「産業再生法」を適用、支援に乗り出した。中小企業に対する支援策は軽視しながら、ダイエーに対するこうした手厚い保護に対し、国民の間から「なぜダイエーだけが」と、怒りの声が相ついでいる。

失業率またも最悪、個人破たんも急増
 総務省が29日発表した昨年12月の完全失業率は5.6%と前月比0.1ポイント上昇、4カ月連続で過去最悪を更新した。2001年平均も、前年比0.3ポイント上昇の5.0%と過去最悪。12月の完全失業者数は337万人と、9カ月連続で増加、倒産や解雇で職場を追われた非自発的失業者数が5カ月連続で増加した。また、借金を返せなくなった個人による自己破産の申し立てが、昨1年間で前年比15.2%増の16万419人にのぼったことも、同日分かった。こうした国民生活危機に対して、一日も早い事態打開のための施策を政府・自治体に要求しなければならない。

共産党、「不審船」でみにくい動揺
 共産党の志位委員長は、昨年末の「不審船」事件について「国際法上誤った対応」との党見解を、1カ月以上たった28日に発表した。見解では「不審船」は「排他的経済水域で発見された」ので、「危害射撃は問題」としている。しかし、このこと事態は当初から分かっていたことである。事件当初、共産党は政府の対応を事実上是認していた。共産党は昨年、「不審船」への武力攻撃を可能にする改正海上保安庁法に、「警察力強化は必要」と賛成すらしていた。いまさらながらの見解発表は、党内外の批判の声に押され動揺する、共産党のみにくい姿をさらしたものである。

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