20020125

日本のできごと

2001.12.10〜2002.01.09


国民総犠牲の2002年度予算案
 2002年度予算案が12月24日、閣議決定された。一般会計は今年度当初比1.7%減の81兆2300億円で4年ぶりの緊縮予算。高齢者への医療費負担増、国立大学授業料の引き上げ、住宅金融公庫の融資限度額引き下げなど、国民に負担を強いる。深刻な雇用危機にもかかわらず、失業手当給付総額は1兆7219億円と、今年度比で1400億円弱しか増えていない。小泉の公約であった「国債発行30兆円以内」は「隠れ借金」で取りつくろったものの、発行額は5.9%増大し、歳入の37%を占める。これらにより、国と地方の債務残高は693兆円にもふくらんだ。不況下の負担増で、国民の不満はますます増大することは必至だ。

再度の公的資金注入で大銀行優遇へ
 金融庁は1月6日までに、金融機関に再度、公的資金を注入する方針を決めた。注入対象は、都銀、有力地銀に限定するとし、預金保険機構の「危機対応勘定」(総額15兆円)から注入される。一方、12月末に破たんした石川銀行のような第2地銀や信金・信組に対しては、資金注入などが制限される。小泉首相は金融危機回避に「あらゆる手段を講じる」としているが、国民の血税で大銀行だけを救済、地域経済、中小企業と密接な関係のある中小金融機関を淘汰(とうた)して金融業界の再編を促そうとしている。

初の武力攻撃で「不審船」を撃沈
 海上保安庁巡視船が12月22日、奄美大島沖の東シナ海で「不審船」を直接攻撃、中国の排他的経済水域(EEZ)内で撃沈し、乗員15人が死亡した。攻撃は、10月末に成立した改正海上保安庁法に基づくとしているが、他国の水域を犯した国際法違反の行為である。またこれは、わが国戦後初の直接武力行使となった。小泉政権は、「不審船」は「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のもの」とキャンペーンを行っているが、「わが国に対する重大な冒とく行為」(北朝鮮)、「正当防衛との言い方には無理がある」(中国)など、周辺国は反発している。政府・与党は、1月21日召集の通常国会で、テロや「周辺事態」への対応など、有事法制の理念を明記した「緊急事態基本法」(仮称)の成立をめざす方針を決めた。「不審船」や「テロ対策」を口実に、アジアに敵対する有事法制整備を進める小泉政権を許してはならない。

普天間基地、地元無視の移設地決定
 政府、沖縄県、名護市による米軍普天間基地の代替施設協議会は27日、新基地を名護市辺野古沖合のサンゴ礁(リーフ)上に建設することで合意した。96年の日米特別行動委員会(SACO)合意に基づくものだが、県民の粘り強い闘いにより、工法や規模は決まらぬまま。稲嶺県知事が公約とした「15年使用期限」は、田中外相が「難しい」と述べた。基地建設が強行されれば、沖縄はますます米軍の出撃拠点として機能強化され、県民の暮らしと営業はおびやかされる。

失業率5.5%に、不安定雇用も急増
 11月の完全失業率が28日発表され、5.5%となった。3カ月連続で過去最悪を更新したことになる。失業者数は350万人で、8カ月連続で前年同月を上回った。一方、派遣社員総数は前年度比で29.8%増の約138万7000人と過去最高。有効求人倍率は、5ヵ月連続で悪化し0.53倍となった。深刻な不況とリストラが原因で、失業増大と雇用の不安定化が急速に進んでいる。また、11月の企業倒産は、前年同月比10%増加の1851件にのぼり、11月としては戦後最悪となった。労働者が闘いを余儀なくされる状況が、ますます深まっている。

連合、賃上げ放棄の春闘方針
 連合は1月9日、02春闘の第1回拡大戦術委員会を開いた。同委員会は、ベースアップの統一要求が見送られ、「雇用維持協定」締結を最優先する方針を確認した。日経連は「ベア見送り」はもちろん、定期昇給制度の見直しさえも表明しており、こうした連合中央の方針は、財界と事実上歩調を合わせるもの。「雇用優先」、「ワークシェアリング」を口実に賃下げを容認する姿勢では、雇用さえも守れる保証はない。ナショナルセンターとしての存在意義が問われている。

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