20011115

日本のできごと

2000.10.30〜2001.11.9


小泉首相、アジアで「カヤの外」
 ブルネイで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国による「ASEANプラス3首脳会議」が十一月六日、閉幕した。小泉首相は、米軍支援の自衛隊派遣に「理解」を求めたが、経済問題を主眼とした論議の中、事実上無視された。また、小泉は米国のお先棒を担いで「反テロ声明」を画策したが、「特定の民族や宗教と関連づけられるべきでない」などの声を受け策動は破たん、声明は見送られた。対米追随一辺倒の小泉政権ではわが国はアジアで孤立するばかりである。

「一線を超えた」自衛隊インド洋派遣
 海上自衛隊艦艇三隻が九日、長崎県佐世保港よりインド洋に向け出港した。テロ対策関連法の成立を受け、イスラム教のラマダン(断食月)前に何が何でも米軍支援・海外派兵の「実績」をあげようというもので、実施計画もない「調査目的」での出航となった。この後、十六日にも予定される基本計画の閣議決定に基づき、米軍支援を行う予定。米軍のアフガニスタン攻撃を支援するためのものであり、初めての自衛隊の戦闘時派遣となる。まさに、わが国戦後史の「一線を超える」ものであり、許されない。

改憲、集団的自衛権求め超党派勉強会
 自民、民主、自由、保守四党の中堅・若手議員が七日、改憲と集団的自衛権の行使を含む国家安全保障基本法(仮称)の制定を求める新たな勉強会、「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」を発足させた。これはきわめて反動的なものである。先のテロ関連法制定の過程で、民主党内若手が与党との連携を模索するグループづくりを行うなど、政界再編と保守二大政党制をめざす、支配層の策動が続いている。

特殊法人改革で5兆円超の国民負担
 小泉政権の進める特殊法人・認可法人改革によって、約五兆五千億円の国民負担が生じることが七日、明らかになった。行革推進事務局の試算によるもので、約三兆九千億円の債務超過額や、道路公団が発生させる見込みの債務なども含む。特殊法人改革に代表される行政改革は、国民にすべてのツケを回した上で、大企業が国際的大競争に勝ち抜くための「身軽な政府」を実現するためのものである。特殊法人改革には、すでに自民党や業界などから抵抗が強まっているが、銀行救済策に続く国民負担が実施されれば、さらに国民からの反発は避けられない。

失業率、ついに5.3%
 九月の完全失業率が五・三%(前月比〇・三ポイント増)と、一九五三年以降最悪の水準となったことが十月三十日、明らかになった。とくに、倒産・解雇による非自発的失業者は、前年同月比十万人も増加した。とくに、八月段階で一年以上失業している労働者は、九十二万人にも及ぶ。また政府は十一月八日、今年度の名目経済成長率見通しをマイナス二・三%に下方修正した。これで四年連続のマイナス成長となり、来年度のマイナスも確実視されている。まさに「三〇年代の昭和恐慌を上回る深刻なデフレ」(日経)となった。失業率は、来年早々にも六%を突破するといわれ、出口なき不況で国民の生活苦はますます深まっている。

トヨタ、大リストラで最高益あげる
 トヨタは八日、二〇〇一年九月中間決算を発表、前年同期比三四%増の連結経常利益を計上した。利益は上半期としては過去最高で、五千二百六十六億円。しかも、利益のうち「合理化効果」は千百億円にも及ぶという。だが、トヨタが「勝ち組」となれたのは、労働者への大規模なリストラや、原価低減計画「CCC 」など下請け切り捨てなどによるものである。

連合、大企業助ける賃下げを容認
 連合の笹森会長は一日、東京で行われた春闘中央討論集会で、深刻な失業状況を口実に、「ワークシェアリングをやるなら、賃下げもやむを得ない」などと述べた。この方向に基づき、日経連と共同で研究会を設置、来年三月をめどに具体的導入案を示す計画だという。すでに、電機、鉄鋼は春闘すら闘わない方針を決めた。だが、こうした闘わぬ連合中央の方針では、現実に賃下げ、大失業が横行する中、肝心の雇用すら守れるものではない。

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