20011105

世界のできごと・人民のたたかい

2000.10.20〜2001.10.29


米爆撃の被害拡大で国際非難高まる
 パキスタンのハイダー内相は十月二十九日、「米軍のアフガン爆撃は一般民衆の犠牲者ばかり増やしている」と述べ、ムシャラフ政権の現役の閣僚として初めて、米国を公然と非難した。パキスタン国内では、一般市民からも米軍の空爆に反対する声が高まっていた。親米路線をとっているといわれる湾岸諸国でも、米国への非難が相ついでいる。カタールのハマド外相、イエメンのサレハ大統領は「罪もない国民を犠牲にするのは許せない」と語り、「攻撃が続けばイスラム社会が蜂起するだろう」と警告した。バーレーンでも市民が米国の国旗を引き裂くなどの抗議行動も起こった。

APEC、対テロ協調も不況には無策
 上海で十月二十、二十一日に開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)は、反テロ声明の採択、世界不況回避に向けた自由貿易体制の強化、世界貿易機関(WTO)閣僚会議での新ラウンド(十一月)の推進をうたった首脳宣言を採択した。各国は反テロでは一致したものの、声明は、米主導の原案に中国、ロシアなどが反発、「国連憲章に沿ったテロ防止活動」と変更された。また、世界同時不況回避については具体的な打開策を打ち出すことはできなかった。情報技術(IT)不況に見舞われた米経済は、七?九月期の実質経済成長率がマイナスとなり、同時テロの直撃を受けた十?十二月期はマイナス二%程度になる見込みとなった。米経済の落ち込みがアジア欧州に連鎖、対米輸出依存度が高いシンガポールの九月の輸出は、前年同月比三〇%減少、韓国も同一六%減少した。アジアの輸出は、九七年の通貨危機以来の急激な落ち込みとなった。欧州でも、ユーロ圏十二カ国の鉱工業生産指数が二・四半期連続のマイナスに転落した。

資金減少で新興市場国の危機深まる
 米同時テロの影響で、中南米、東欧、アフリカ、アジアの新興市場国への民間資金流入が激減、九月の資金調達額は前年同月比七八%減で、市場が機能停止した九八年九月以来の低水準となった。二十九日の月曜日には、アルゼンチンの株価指数が前週末比で八・六七%急落した。他の中南米株式市場も連鎖安となり、ニューヨーク市場の株価大幅下落の一因ともなった。テロ以降、機関投資家がリスク資産への投資を手控えているため、あらたな資金調達は困難で、新興市場国の危機はいっそう深刻化するとみられる。


 ケニアの都市モンバサで十月二十日、三千人が米国のアフガン爆撃に抗議して市内をデモ行進した。
 タイのバタニ県で二十一日、米軍の空爆中止を求めて市民約三万人がデモを行った。また、バンコクでも同日、二千人が参加して抗議行動が行われた。
 パキスタンのカラチで二十三日、米軍の武力行使に反対し、攻撃の中止を求める女性だけの集会が開かれた。また、二十六日にも、数万人が参加した抗議集会が開かれた。
 イタリアのローマで二十五日、高校生の全国組織「生徒連合会」と「大学生連合会」の主催で米英のアフガン空爆中止を求める集会とデモを行った。この日は、トリノでも学生三千人がデモを行った。
 英国のスコットランドで二十七日、米英の軍事攻撃に反対して、五百人の市民が英国防省の建物を人間の鎖で包囲した。

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