20011105

日本のできごと

2000.10.20〜2001.10.29


テロ関連3法成立、自衛隊参戦可能に
 米軍支援を可能にするテロ対策特別措置法など関連三法は十月二十九日、参院本会議で、与党三党などの賛成多数で可決された。民主党は事実上賛成、海上保安庁法「改正」は共産党までも賛成した。これを受けて、政府は十一月一日にも東京で日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)を開催、米側と具体的な支援策について協議する。計画は、米軍に燃料などを輸送するため、補給艦やイージス艦など千人規模の自衛隊を派遣するなどとされる。同法の成立により、わが国戦後史上初めて、自衛隊を戦闘地域そばの外国領土に派遣するという事態を迎えた。これは、地球規模での米軍支援に道を開くものである。当然、アジア諸国からは「戦後日本の安保の一大転換」(中国・新華社)、「平和憲法の枠を破るもの」(韓国・超党派議員グループ)など、大きな反発を受けている。わが国の進路を危険な方向に誤らせる自衛隊派遣は、許されない。
 
党利党略の中選挙区制案が延期
 自民、公明、保守の与党三党は二十四日、衆院選制度改革について、市や東京二十三区を分割している小選挙区を合併、二つの三人区と十二の二人区を創設する中選挙区部分復活案で合意した。これは現行の小選挙区で当選が難しい公明党が、国連平和維持活動(PKO)協力法「改正」と引き替えに、自民党に要求していたもの。公明党のためだけの露骨な党利党略の合意である。だが、悪化する国民生活そっちのけの合意に対して、国民から大きな反発の声があがった。与党は、同案の「延期」に追い込まれた。

社民党大会、展望は開かれたか
 東京で開かれていた社会民主党の第七回定期大会は二十八日、渕上貞雄幹事長の後任に福島瑞穂参議院議員を選出して閉幕した。大会では次期衆院選に百人の公認候補を擁立することなどの方針を採択した。テロ特別法の成立や国民の生活危機が強まる中、労働組合と強く結びつき、国民運動の組織者としての党の再建が求められている。

共産党3中総、堕落ぶり鮮明に
 共産党の第三回中央委員会総会が十九?二十日、東京で開かれた。志位委員長は、テロ問題で国連の武力制裁を提起した先の党見解について自賛、米国のアフガン攻撃に実際上唱和する立場を明言した。また不破議長は「中東問題が解決されないとテロ問題が解決できないという立場はとらない」と発言、中東をはじめ世界での米国の侵略や干渉を免罪する立場を鮮明にした。また、敗北続きの選挙総括については「『小泉突風』に耐えられる党を」と、幹部の責任を回避した。共産党は「現実路線」の下、先の海上保安庁法「改正」に賛成するなど、支配層にいっそうおもねっている。今回の中央委員会総会も、そうした共産党の姿を再確認させる場となった。

電機大手、リストラ策の前倒しはかる
 深刻な不況とテロ事件の影響を口実に、電機大手は軒並みリストラ計画の前倒しをはかっている。富士通は二十四日、今年度中に行う人員削減数を、八月に発表した約一万六千人から五千人追加することを明らかにした。東芝も二十六日、リストラを二年前倒しし、半導体部門従業員の一割にあたる三千人を来年三月末までに削減すると発表。またNECも二十四日、半導体部門の全従業員約九千人に一時帰休を実施した。併せて、同社はコンピューター関連子会社のNEC茨城(茨城県開城町)の製造部門を米国の会社に譲渡することを明らかにした。さらに富士電機は、国内総人員の五・五%にあたる千五百人を年度末までに削減、長野県の松本工場と関連会社約三百人に対し、十?二十日の一時帰休を実施する方針。犠牲のいっさいを労働者に押しつけることは断じて許されず、労働組合の役割が真剣に問われている。

貿易黒字大幅減、不況などくっきりと
 二〇〇一年度上半期の貿易黒字は三兆三千四百十七億円と、五期連続で前年同期を下回ったことが二十二日、明らかになった。減少幅は四三・一%減で、第二次石油危機以来二十二年ぶりの大きさ。とくに、半導体など情報技術(IT)関連の輸出減少が目立った。米国の景気後退をきっかけにした世界同時不況、中国などアジア諸国の輸出競争力向上、わが国の産業空洞化の動きが、顕著に示された。

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