20011005

日本のできごと

2000.9.20〜2001.9.29


公約破りに追い込まれた首相所信表明
 第百五十三臨時国会が九月二十七日、召集された。所信表明演説を行った小泉首相は、同時テロに関する対米支援について「全力で立ち向かう」などと述べ、自衛隊による米軍の後方支援など七項目の対応策を表明した。だが、政権の目玉である構造改革については、「国債発行額三十兆円以内」としてきた公約を「経済情勢によって大胆かつ柔軟に対応する」とするなど、見直しを示唆した。一方、「不良債権処理問題を三年後に正常化」と中小企業つぶしを宣言、雇用政策は「二〇〇二年度に一万人の雇用創出」と、無策ぶりを示している。同時テロによって世界経済は恐慌色を強めるなど環境は悪化、小泉改革はいよいよ破たんしつつある。

危険な対米追随を約束した小泉
 米国を訪問した小泉首相は二十五日、ブッシュ大統領と会談した。小泉は米国の報復戦争への支持を表明、「国際的テロ根絶」のための日米協調と、自衛隊の米軍支援のための新法制定を公約した。また小泉政権は二十六日、杉浦外務副大臣をパキスタンへ派遣、四十七億円の経済支援を約束した。さらにPKO法に基づき、同国に自衛隊機を派遣するための先遣隊を派遣した。米国はすでに、インド、パキスタン両国への経済制裁を解除するなど、支援をエサに「アフガニスタン包囲網」を強めている。橋本元首相のエジプト訪問、高村元外相のイラン・サウジアラビア訪問なども予定されており、米国のお先棒担ぎの外交を続ける小泉政権は、まさに戦争と亡国の内閣である。

テロ関連法、際限ない海外派兵へ
 政府・与党は二十六日、米国の報復戦争を支援する法的措置で合意した。テロ新法と自衛隊法・国連平和協力(PKO)法の改正で構成され、米軍以外の軍隊への支援、武器・弾薬の輸送、自衛隊による在日米軍基地警備などの内容。また、テロへの資金供与を防止する治安立法の検討も始まった。これまでの自衛隊派遣は停戦後、しかも紛争当事者の合意が必要だったが、これらの法的措置により、武力行使の行われている戦場すれすれ、他国領内にまでも派遣できることとなる。だが、自衛隊派兵に対して、中国がただちに「非常に敏感な問題」と警戒を表明、自民党など与党内も一枚岩でない。集団的自衛権の行使につながり、わが国が米国の戦争に巻き込まれかねない関連法制定を、断じて許してはならない。

戦争支援と闘えぬ民主、共産
 小泉内閣が米国への戦争支援を策動する中、野党は無力ぶりをさらけ出している。民主党はいち早くテロ新法への賛成を表明、二十七日には「米国への協力」をうたった「テロ非難決議」にも賛成した。だが、衆院では十人ほどが欠席、参院では反対者も出るなど、党内は一致していない。共産党は法案に反対しているが、米国の覇権主義をまったく暴露していない。無力な野党に期待せず、戦争協力に反対して闘う広範な運動が求められている。

医療改革で国民にさらなる「痛み」
 厚生労働省は二十五日、二〇〇二年度の医療制度改革試案を発表した。同案は、(1)高齢者対象年齢を七十歳から段階的に七十五歳に引き上げ、外来・入院とも一割の負担とする、(2)健康保険加入者本人負担を、二割から三割に引き上げる、(3)保険料を月収ベースから年収ベースに変更(ボーナスからも徴収)などとなっている。国民に激しい「痛み」を強いるものであり、「国民・患者への大幅な負担増にすぎない」(連合)、「財政偏重の誤った改革であり、国民の健康不安を招く」(医師会)、「患者負担の増加だけが明確」(健保連)など、各界から激しい批判の声があがっている。

薬害エイズ、「官僚の不作為」に有罪
 薬害エイズ事件で、エイズウイルス(HIV)に汚染された非加熱製剤について行政上の措置をとらなかった元厚生省課長の松村明仁に対して二十八日、東京地裁は有罪判決を言い渡した。官僚の「不作為」について刑事責任を認めた判決は初めてであり、薬事行政の見直しは急務となった。だが、禁固一年(執行猶予二年)の判決には、被害者・家族から「多くの命を奪っておきながら軽すぎる」との声がある。

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