20010925

日本のできごと

2000.9.10〜2001.9.19


国の進路誤らせる米軍支援策決定
 政府は米国でのテロ事件に関連する「報復」攻撃に対して九月十九日、(1)米軍への自衛隊による輸送・補給などの後方支援を可能にする法整備、(2)自衛隊艦艇をインド洋に派遣する、(3)(アフガニスタンに隣接する)印パ両国に経済支援を実施する―など七項目の支援策を決定した。同時に政府・与党は、後方支援と在日米軍基地への警備強化は、新法「米国に対する協力法案」(仮称)と自衛隊法改定で対応する方針を確認した。新法では、後方地域支援活動として「武器・弾薬の輸送」「発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を明記、周辺事態法で定められた後方支援策から大幅拡大されている。また小泉首相が緊急訪米し、日米首脳会談を行うことになった。これは、テロ事件を契機にわが国の運命をいっそう米国にゆだね、軍事大国化への道を選択するもので、わが国の進路にとって大変危険な動きである。

米軍支援策に賛成する民主党
 民主党は政府の米軍支援策について「自衛隊法改正や新法に頭から反対ではない」(鳩山代表)、「日本としてやれることを積極的にやるべきだ」(羽田特別代表)と十九日、賛成する方針を明らかにした。また前原幹事長代理らが、対米協力推進の立場から勉強会を発足させる動きを見せている。こうした民主党の姿勢は犯罪的であり、労働者が支持すべきでない政党であることは明らかである。
 
株価1万円割れ、「改革」破たんへ
 東京株式市場では十二日、日経平均株価が十七年ぶりに一万円の大台を割り込んだ。政府は「極めて特殊な要因(テロ事件)によるもの」(福田官房長官)としているが、一万円割れは時間の問題であった。これに対して日銀は十八日、米欧の中央銀行の緊急利下げと歩調を合わせ、公定歩合を現行の年〇・二五%から、〇・一〇%に引き下げることを余儀なくされた。国債発行額を三十兆円以下とする「小泉改革」も破たんしつつあり、「IT(情報技術)不況、今回のテロ事件で大幅に(『改革』の)シナリオが狂った」(竹中経済財政担当相)との声が政権内からあがっている。
まやかしの政府「雇用対策」
 政府の産業構造改革・雇用対策本部(本部長・小泉首相)の総合雇用対策の内容が十九日、明らかになった。対策では、「規制緩和を通じた新産業育成」「職業紹介機能の充実」などがあげられている。しかし、その内容は四十五歳以上に限って人材派遣会社から派遣された期間の制限を緩和、最長三年に延長するものであり、有期雇用契約についても契約期間の規制を緩和して、同じく最長三年の契約が可能にするというもの。これは、切り捨てが容易な非正規雇用労働者をさらに多く生み出すもので、「雇用対策」とは名ばかりのシロモノである。

マイカル破たん、「痛み」具体化へ
 経営不振に陥っていた大手スーパーのマイカルは十四日、自力再建を断念、経営破たんした。負債総額は一兆七千億円を超える見込みで、流通業では、昨年のそごうに次ぐ大型倒産となった。取引先約一万社、グループ人員約六万人を抱える流通大手の破たんは、関連業界に大きな影響を及ぼすことは必至。不良債権最終処理を優先する小泉政権のもとで初の大型倒産で、改革の「痛み」がいよいよ具体化してきたもの。

「つくる会」教科書の採択わずか
 文部科学省は十一日、来年度の中学歴史教科書の採択結果を発表した。侵略美化の「つくる会」教科書は、五百二十一部、シェア〇・〇三九%にとどまり、同会が目標としていた一割にはるかに及ばなかった。国内外の批判が高まった結果だが、同会はなおも策動を続けるとしており、警戒が必要だ。

狂牛病発生か、問われる農水省の態度
 千葉県で、わが国で初めて狂牛病に感染した疑いのある乳牛が見つかった問題で、農水省は当初、問題の乳牛を「焼却処分した」と発表していたが、実際には肉骨粉に加工されていたことが十四日、判明した。感染経路には、輸入肉骨粉を使用したエサが考えられているが、農水省が肉骨粉を牛のエサに使用するのを禁止したのは、今年三月になってから。農水省の無責任な態度に対し、畜産農家を中心に抗議の声があがっている。

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