20010915

日本のできごと

2000.8.30〜2001.9.9


名目成長率10%減、支配層も動揺
 四ー六月期の国内総生産(GDP)が前期比〇・八%のマイナスとなったことが九月七日、明らかとなった。名目では年率一〇・三%減と、過去最大の落ち込みである。とくに、設備投資は二・八%減、二・四半期連続でマイナスとなった。製造業の収益も悪化、二〇〇二年三月期の連結経常利益は前期比二一・二%減と見込まれている。こうした深刻な事態に、小泉首相は同日、補正予算の編成を指示した。だが、政府・与党内では、「国債発行額三十兆円以内」としてきた「公約」にこだわるべきでないとの意見が噴出している。小泉は「(公約は)ぶれない」としているが、一方で「税収をみて」と、修正に含みを残している。デフレ要因でもある構造改革政策は、まさに瀬戸際に追い込まれようとしている。

日米同盟賛美のサ条約50年式典
 サンフランシスコ講和条約・日米安保条約署名五十周年記念式典が八日、東京と米サンフランシスコで開かれた。東京の式典に参加した小泉首相は、「日米間のパートナーシップをいっそう発展させていくため努力していく」と述べ、日米基軸の五十年を正当化、今後も堅持することを表明した。だが、日米安保はわが国をアジアと敵対させ、外交、軍事、経済など、対米従属の下に縛りつけてきた。現在も日米間には、集団的自衛権の行使やミサイル防衛構想、沖縄問題など、懸案が山積みだ。日本の進路を引き続き米国にゆだねることは亡国の道であり、アジアと共生する進路の実現こそ求められている。

不良債権処理、米英の不信解消に必死
 米英を訪問した柳沢金融担当相は五日、米ワシントンで国際通貨基金(IMF)のケーラー専務理事と会談した。IMF側は日本の不良債権問題について「要注意先債権の引き当てが不十分」と指摘、公的資金を早期に再投入すべきだと述べた。柳沢は、「二〇〇五年には不良債権問題は正常化する」と述べ、IMFによる邦銀への「金融特別審査」受け入れを表明した。今回の訪問で、日本政府は日本の金融システムに対する米英の不信感を鎮めようとやっきになった。だが、景気悪化は進んでおり、強引な処理はさらに景気後退、各層への犠牲を迫るもので、不良債権処理がうまく進む保証はない。

本人負担3割など医療制度改悪狙う
 厚生労働省は二〇〇二年度の医療制度改革の基本方針を、六日までにまとめた。健康保険の外来窓口負担を三割に引き上げ、高齢者対象年齢が段階的に七十歳から七十五歳に引き上げられる。また、毎月の保険料も約一%引き上げられ、保険料徴収は月収ベースからボーナスを含めた年収ベースに変わる。だが、外来窓口負担分は四月に二割に引き上げられたばかりであり、社会保障の後退には際限がない。七日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)では、医師会や連合などから方針への異論が続出、「痛みを伴う」改革への抵抗が強まっている。

金持ち優遇の証券税制見直し
 政府税制調査会(首相の諮問機関)は、株式の売却損を翌年以降に繰り越して所得から控除できるようにする方向で証券税制を見直すことを、五日までに決めた。これにより、株式売買による課税所得額を少なくさせ、株式市場を活性化しようというもの。また、株式譲渡益課税は申告分離方式に一本化した上で、現行二六%の税率も引き下げるという。下落を続ける株式市場活性化のために、政府は投資家・金持ち優遇の税制改革を行う姿勢だ。

特殊法人改革に「ゼロ回答」の抵抗
 政府の行政改革推進事務局は四日、各省庁が提出した特殊法人・認可法人の見直し案を公表した。それによると、廃止とされたのは石油公団など五法人のみ。小泉首相が名指しで民営化を指示した道路関係四公団などについては、国土交通省が「民営化を検討」とするなど、事実上の「ゼロ回答」となった。小泉首相は来年の通常国会で石油公団などを民営化、突破口にしようとしている。だが、自民党の行政改革推進本部(太田誠一本部長)は「廃止・民営化を前提」とする小泉と一線を画し、「事業の必要性を吟味する」角度で論議を再開するなど、官僚や「族議員」などの抵抗は根強い。

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