20010625

日本のできごと

2000.6.10〜2001.6.19


田中外相訪米、日米基軸を確認
 訪米した田中外相は六月十八日、パウエル米国務長官と会談した。田中外相は日米基軸を確認、ミサイル防衛(MD)構想についても「理解する」と表明した。パウエル長官は日本の構造改革に期待を表明、「日本にとって最大の友人は米国である」と強調した。MD構想や温暖化防止問題で国際的に孤立する米国は、日本に同盟国として歩調を合わせることを求めている。外相は在沖米海兵隊の訓練移転について言及したといわれるが、具体的な協議はなかった。MD構想に批判的といわれる外相だが、日米基軸の外交を一歩も踏み越えるものではない。

PKO、当事者の同意なしで派遣へ
 政府・自民党がまとめた国連平和維持活動(PKO)協力法改正案の原案が十六日、明らかとなった。「紛争当事者間の停戦合意」などの参加五原則を見直し、派遣要件や武器使用基準を大幅に緩和している。武器使用は派遣隊員の生命防護に加え、在留邦人や他国部隊を守る目的でも使用できるようにする。また、紛争当事者が特定できない場合でも、部隊を展開する国の同意さえあれば派遣できるとする。これは、当事者の特定が困難な東ティモールの停戦監視部隊参加を念頭においたものであるだけでなく、海外派兵のいっそうの拡大を狙う危険な動きだ。

中国が自動車などに特別関税を通告
 中国の対外貿易経済協力省は十九日、日本から輸入する自動車、携帯電話、エアコンの三品目に一〇〇%の特別関税を課す方針を明らかにした。三品目は中国での現地生産が進んでおり、日本国内への影響はそれほど大きくない。これは、日本側の野菜のセーフガードに対する報復措置といわれている。最近の教科書や靖国参拝問題、李登輝訪日などに加えて、今回の貿易摩擦が起こり、日中関係は最悪の状況にある。

GDP、年率マイナス〇・八%
 内閣府が十一日に発表した一?三月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比〇・二%減、年率換算では〇・八%減となり、二・四半期ぶりにマイナス成長となった。米国経済の減速や情報技術(IT)関連の需要の落ち込みが大きく響いた。竹中経済財政担当相は十四日、六月の月例経済報告で景気の基調判断を「悪化しつつある」とし、五カ月連続で下方修正した。「小泉改革」はこうした厳しい経済状況の中で行われようとしており、「景気悪化もやむなし」と豪語する小泉への不満は、急速に高まるに違いない。

地方分権委報告「地方にも痛みを」
 政府の地方分権推進委員会は十四日、国から地方への税源移譲を柱とする最終報告を小泉首相に提出した。所得税の一部を地方税の個人住民税へ移す一方で、地方交付税などの削減を求めている。また、法人事業税への外形標準課税の早期導入、地方税としての環境税制創設も盛り込んだ。最終報告の中では「中央・地方の関係を改革することは地方にも痛みを伴わざるを得ない」と言及している。すでに地方交付税の削減については、地方自治体から強い反対の声がわき起こっている。

都市再生本部、都市重視の事業を決定
 政府の都市再生本部(本部長・小泉首相)は十四日、東京など大都市圏で推進する都市再生プロジェクトの第一次案として「東京湾臨海部での広域防災拠点の整備」「ごみゼロ型都市」など三事業を決定した。また、首都圏再開発や環状道路整備事業なども例示した。来年度から着手する予定で、事業費は数兆円規模の事業となる。政府は都市部に予算を重点配分する姿勢で、道路特定財源の一部をこれに投入する試算もある。大都市重視、地方軽視の政策に、地方からの反発は必至だ。

連合、小泉内閣の改革路線を後押し
 政府、経済界、労働界の代表による「政労使雇用対策会議」が十二日、東京で開かれた。連合の鷲尾会長は小泉内閣の改革路線を後押しすることを表明、労使が「改革支持」で一致した。同会議は九九年に年金改革関連法をめぐって対立したことから開催が中断していたが、一年半ぶりに再開された。鷲尾会長は「今後は政労使会議を迅速に開いてほしい」と注文した。こうした姿勢で、これからさらに激しくなるリストラや雇用破壊と闘うことができるはずはない。

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