20010525

世界のできごと・人民のたたかい

2000.5.10〜2001.5.19


南アジアめぐり米中がかけひき
 インド訪問中のアーミテージ米国務副長官は五月十一日、バジパイ首相らと会談し、ブッシュ大統領の訪問招請と、ミサイル防衛構想への理解を求めた。また米政府は十七日、九八年以来のインドに対する経済制裁を全面解除する方針を明らかにした。これは、インドとの関係強化で中国へのけん制を強めようというもの。一方、中国の朱首相は十一日、パキスタンを訪問しムシャラフ行政長官(首相)と会談した。中国首脳のパキスタン訪問は十二年ぶりで、両国は軍事・経済面の協力強化で合意した。東南アジアで米中両国が、連携国をつくろうと外交を展開している。

米欧、利下げで景気回復に必死
 米連邦制度準備理事会(FRB)は十五日、短期金利指標であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を〇・五%引き下げて年四%とする利下げを行った。米国の利下げは今年五回目で、金利水準は九四年以来の低率となり、景気減速に歯止めをかける狙いとされる。また、欧州中央銀行も十日、市場介入金利を〇・二五%引き下げ、四・五%とした。

米、原発推進政策に転換
 米政府は十六日、国家エネルギー政策の概要を発表し、七九年のスリーマイル島事故以来、新規建設してこなかった原子力発電を推進することを明らかにした。これは、電力自由化などの規制緩和でカリフォルニア州で電力危機に陥ったことや、昨年の原油高への対処と共に、安全保障上の問題もあるとされる。欧州などを中心に進む「脱原発」に逆行する動きで、国内の反発が高まることは必至だ。

伊右派勝利で欧州に不安高まる
 十三日に投開票されたイタリア総選挙で、ベルルスコーニ元首相らによる右派連合「自由の家」が勝利し、上下両院とも議席の過半数を占めた。ベルルスコーニはイタリア最大のメディア資本を背景としている上、「自由の家」にはファシズムの流れや移民排斥をとなえる右派が参加している。欧州連合(EU)各国はさっそく懸念を表明している。右派勝利の背景には、財政赤字を国民に転嫁することで欧州統合に参加する条件を満たしたものの、雇用や社会保障へのしわ寄せが国民生活を直撃したことで、不満が高まったためとされている。


 イタリアの労働総同盟(CGIL)など三大労組に加盟する金属労働者五十万人が十八日、賃上げと労働協約改定を求めて全国でデモやストライキを闘った。労働者は、インフレに見合った月十三万五千リラ(約七千七百円)の賃上げを求めているが、経営側の回答は約四千八百円。金属労働者は、ゼネストなども視野に入れて闘いを続けるとしている。
 年金支給開始年齢の引き上げに反対するギリシャの闘いは、引き続き発展している。十七日も首都アテネを中心にゼネストが闘われ、数十万人がデモを行った。役所や学校、商店などもほとんどが休業し、ストへの連帯は国民的に広がっている。
 英国ロンドンにある小売店、マークス・アンド・スペンサー社前で十七日、欧州七カ国の労働者二千人がデモを行った。同社は欧州にある三十八店舗を閉鎖、四千四百人のリストラを発表したため、フランスを中心に全欧州で闘いが巻き起こっている。
 ドイツ・ルフトハンザ航空の労組・パイロット連合は十七日、三五%の賃上げを求め、三度目となる二十四時間ストを闘った。これにより、千便以上の航空機が運転を取りやめた。