20010525

日本のできごと

2000.5.10〜2001.5.19


在沖縄米軍の増強へ新たな提案
 米国防総省の委託を受けたランド研究所は五月十五日、新戦略報告書をまとめた。報告書は、東アジアの米軍戦力を朝鮮半島から、台湾有事を想定した「南方型」に重点を移すよう求めている。そのため、台湾に近い沖縄・下地島に米軍基地を新設し、見返りに沖縄の海兵隊を削減するというもの。しかし、有事の際には普天間基地を米軍が使用できることを要求。また、憲法改正により集団的自衛権行使を認めるよう求めている。すでに下地島には、今年、二度も米軍機が飛来している。わが国の米軍基地を強化し、アジアに敵対させる極めて危険なものである。

首相の靖国参拝発言にアジアから批判

 小泉首相は十四日、靖国神社に参拝すると述べ、その上、中国、朝鮮民主主義人民共和国や韓国などから反発があっても参拝を強行すると強調した。これに対し、小泉政権に慎重な対応を求めていた中国政府は十七日、駐中国大使に公式に抗議した。韓国政府も十五日、駐韓国公使に抗議した。さらに北朝鮮の朝鮮中央放送、平壌放送は「犯罪的企図をさらけ出した」と批判。シンガポールの聯合早報も、小泉首相は「軽薄でごう慢な政治家」と批判した。

小泉にエール送る民主党
 民主党の鳩山代表は十二日、小泉政権について「本気で改革することを考えているのであれば大いに協力する」と述べた。これまで民主党は「小泉内閣と改革のスピードを競い合う」(鳩山代表)、「構造改革の方向が同じならきちんとやらせる」(菅幹事長)と、小泉内閣にエールを送ってきた。さらに岡田政調会長は必要なら憲法を変えよとまで主張している。このように民主党が財界のための政党であることがいっそう明らかになっており、連合などの労働組合が支持すべき党ではない。

大企業、経常利益41%増の大もうけ
 十八日に集計された上場企業の二〇〇一年三月期連結決算の経常利益が、前年に比べ四一%増加したことが明らかになった。また、最終的な純利益は二・六倍になるとみられている。これは製造業を中心にリストラによって収益構造が変化したもので、特に自動車ではコスト削減が顕著であった。また、電機でも情報技術(IT)投資拡大によって経常利益が八四%増加した。しかし、売上高は五%しか増えておらず、この利益拡大は多くの労働者や下請け企業の犠牲によるものでしかない。

トヨタ、日産ボロもうけ
 トヨタ自動車が十六日に発表した二〇〇一年度三月期決算は、連結益で九千七百二十二億円となり、史上最高となった。また、連結経常利益は一兆五百億円となる見通し。さらに、日産自動車も十七日に過去最高の三千三百十一億円の黒字を発表した。日産は昨年約六千八百四十四億円の赤字だったが、三工場を閉鎖し、下請け関連企業にも大幅なコストダウンを要求した結果、約一兆円の伸びを示した。ゴーン・日産最高経営責任者の合理化が企業回復の「手本」のようにいわれているが、実態は労働者と下請け企業の多大な犠牲によるものであり、企業の社会的責任を放棄した雇用と生活破壊は断じて許されない。

ハンセン病訴訟、国の責任を認定
 国立ハンセン病療養所の元患者ら百二十七人が、らい予防法(九六年廃止)などによる隔離政策で、約九十年にわたって人権を侵害されたとして、総額約百四十六億円の賠償を求めていた西日本訴訟の判決が十一日、熊本地裁で出された。判決は、隔離規定の違憲性は明白として、原告全員に賠償金を支払うように命じた。だが、政府は何としても責任を認めず、控訴した上で和解したいとしている。これに対して、国は反省していないとの批判が強い。