20010515

世界のできごと・人民のたたかい

2000.4.20〜2001.5.9


ブッシュ、中国敵視あらわに
 ブッシュ米大統領は四月二十五日、台湾が(中国から)攻撃された場合、台湾を守るためにはなんでもすると言明、米軍の武力介入を公然と明らかにした。米国は、「台湾関係法」で事実上の軍事同盟関係を継続してきたが、武力介入については言明してこなかった。パウエル国務長官も五月三日の議会証言で「中国は全体主義政府」と決めつけ、台湾問題などをあげ中国を非難した。すでにブッシュ政権は台湾に対し九二年以来最大規模の武器供与リストを示し、駆逐艦や対潜哨戒機など総額四十億ドル以上の武器の売却を決めている。また米中軍用機衝突事件後に、中国へのスパイ活動を再開するなど中国敵視政策を強めている。

米国、国連人権委落選
 国連が五月三日に行った国連人権委員会の選挙で、四七年の同委員会発足以来、初めて米国が落選した。投票結果も最下位であった。新たに米国が「テロ支援国」に指定しているスーダンがメンバー国となった。また同日行われた国際麻薬統制委員会の改選でも議席を失った。背景には米国が地球温暖化防止の京都議定書からの一方的な離脱、国家ミサイル防衛構想(NMD)、各国に対する人権を口実にした内政干渉などがあり、世界の批判が強まった結果といえる。

EU代表団訪朝、緊張緩和を促進へ
 欧州連合(EU)首脳代表の訪朝団は五月三日、朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記と会談した。会談で総書記は、米ブッシュ政権の対朝鮮政策が固まれば訪韓する意思を表明した。また米朝交渉が中断している中で、二〇〇三年までミサイルの発射実験を凍結することも明らかにした。その後EU代表団は四日、韓国の金大中大統領と会談、金大統領は米国に北朝鮮との関係改善を求める意思を明らかにした。これを受けEUは六日、非公式外相会談を開き金融やエネルギーなどの技術支援を北朝鮮に行うことを決めた。また外交関係の樹立についても十四日の外相理事会で決定することを確認した。米国の北朝鮮敵視政策が目立つ中でのこうした動きは朝鮮半島の対話を促進するものと考えられる。

ベトナム党第9回大会
 十九日から開催されていたベトナム共産党第九回大会は四月二十二日、目標成長率を「五年間で平均七・五%」とした政治報告や党規約改正などを採択するとともに、ノン・ドク・マイン国会議長を新たに書記長とすることを決め閉幕した。党大会ではこれまで十五年間のドイモイ(刷新)路線の成果を確認した。


世界のメーデー
 二十一世紀最初のメーデーが全世界で行われた。以下は、主なもの。

 ロシアでは全国四百八十一カ所でデモや集会が行われ三十万人が参加した。ロシア共産党主催の集会には一万人が参加した。
 イタリアでは「仕事をさらに、安全性をさらに」のスローガンの下、全国で集会・デモが行われた。ローマでは八十万人、ミラノで二万五千人、トリノで三万人がそれぞれデモ行進を行った。
 ドイツでは全国一千カ所、五十万人が参加した。EU(欧州連合)拡大について「賃金や社会保障の切り下げがない」欧州統合を求めた。
 オーストリアのウィーン市庁舎前の集会には十万人が参加し、財政難を理由に国営企業の民営化や社会保障制度の切り捨てを進める政府へ労働者から批判が相ついだ。
 フランスのパリでは二万人が参加した。先月、整理解雇で違法判決を勝ち取った英国資本の小売店マークス・アンド・スペンサーの労働者は「株価のためのリストラ反対」と訴えた。第二の都市マルセイユでは一万人が参加。食品大手ダノン社が工場閉鎖を計画している北仏カレーでは労働者と家族二百人が工場前をデモ行進し、解雇撤回を要求した。
 イギリスのロンドンでは数千人が「反資本主義」「途上国の債務帳消し」を訴えデモを繰り広げ、警官隊と衝突した。
 韓国では民主労総と韓国労総がそれぞれソウル市内で集会を開いた。民主労総の集会には二万人が参加、構造調整の中断と整理解雇の撤廃を求めると同時に国家保安法の廃止、国家ミサイル防衛(NMD)構想反対も掲げ、「反金大中政権闘争」「反米自主化」を呼びかけた。韓国労総の集会には四千人が参加、構造調整に反対するとともにし、週四十時間労働、週休二日制の法制化を求めた。
 南北朝鮮共同のメーデー共同行動が分断以来初めて、北朝鮮の金剛山で開かれ、千人余りの労働者が参加した。韓国からは民主労総と韓国労総の代表五百三十人が参加、北朝鮮の職業総同盟の労働者五百人と共に、南北交流の拡大と朝鮮半島の平和に向け、決意を固めた。

 カナダのケベックで、四月二十一日から同地で開かれた米州首脳会議に合わせ、労組、女性・青年団体や環境保護団体などがピープルズ・サミットを開催、約二万五千人が市内をデモ行進し、自由貿易地域の拡大に反対の声をあげた。
 米自治領プエルトリコのビエケス島では、二十七日からの米海軍の演習を「人間の盾」で阻止しようと、住民や自治政府議員が抗議活動を展開、米軍当局により百八十人が拘束された。ビエケスのセラーノ市長は「闘いをやめない」との声明を発表した。すでに自治政府議会が、二十三日にビエケス島での米海軍演習をやめさせるための騒音禁止法案を可決し、翌二十四日には自治政府が永久的な演習中止を求めワシントンの連邦裁判所に提訴している。
 ギリシャで二十六日、シミティス政権の年金改革案に反対し、全国でストや集会が繰り広げられた。首都アテネでは十万人が参加、バスや地下鉄など公共交通機関がストップした。
 ドイツのルフトハンザ航空パイロット労組四千二百人が五月十日、平均三十五%以上の賃上げを要求し、二十四時間ストに入った。先週四日に続く二度目のスト。このストで千百の旅客便に運航停止また遅延が出ている。要求が受け入れられない場合は、今後四週間、木曜日ごとに二十四時間ストを行うとしている。