20010515

日本のできごと

2000.4.20〜2001.5.9


小泉政権発足、「国民の痛み」を宣言
 四月二十四日の自民党総裁選挙で、地方票の圧倒的多数を獲得した小泉純一郎が新総裁となった。小泉総裁が誕生したことは、自民党政治への根強い国民の批判を、間接的ではあるが反映している。小泉総裁は二十六日、首相に選出され、新内閣を組閣した。首相は五月七日の所信表明演説で「聖域なき構造改革を断行する」と宣言。また、日米同盟関係の強化、福祉切り捨てによる高齢者の負担増などを表明した。小泉政権は世論調査では八〇%を超える支持率を得ているが、構造改革の痛みは中小業者や労働者など国民生活を直撃するもので、断行すれば国民の反発は必至だ。

お株奪われ、打つ手なしの民主党
 「自民党では構造改革はできない」と批判し、徹底した構造改革を主張してきた民主党は、小泉政権の誕生でうつ手なしの状況に追い込まれている。九日の代表質問で鳩山代表は、小泉内閣が改革にうそ偽りなく取り組むなら改革のスピードを競い合おうとエールを送る始末。保守二大政党制の一翼を担おうともくろむ民主党だが、早くもその存在感が薄れてきている。
  
財界に媚(こ)びる共産党
 共産党の志位委員長は九日、経済同友会の小林代表幹事(富士ゼロックス会長)と懇談した。経済団体トップとの懇談は初めて。志位委員長は、大企業が日本経済の中で果たしている役割を評価し、両者は今後も懇談の機会を設けていくことで合意した。財界から「共産党が政権に入っても安心だ」という、お墨付きをもらうための環境づくりの一つである。

韓国が歴史教科書再修正を要求
 韓国の韓・外交通商相は八日、先に検定を通過した日本の歴史教科書について、事実を歪曲した記述や欠落している部分があるとして、三十五カ所の再修正要求を文書で伝えた。また、韓国国防省は八日、六月初めに予定されていた日本の海上自衛隊との共同訓練を延期すると発表した。小泉首相は再修正には応じない構えだが、韓国では国会議員が発行差し止めを提訴、日本製品の不買運動が展開されるなど、日本政府への批判が高まっている。

不良債権処理で失業者100万人増
 ニッセイ基礎研究所などは七日までに、政府の緊急経済対策による不良債権最終処理の影響についてをまとめた。それによると、建設、不動産、卸・小売の三業種を中心に百万〜百三十万人が失業し、GDPも〇・五〜一・四%下がるという。これが、小泉首相が声高に叫ぶ「構造改革」の真実である。

米国が日本のセーフガード発動を批判
 米通商代表部は四月三十日、包括通商法スーパー三〇一条(不公正貿易国・行為の特定・制裁)などに基づく年次報告を発表した。その中で、日本がネギなどの農産物に暫定的な緊急輸入制限措置(セーフガード)を発動したことに「重大な懸念」を表明した。米国はWTOでもこの問題をとりあげて日本を批判しているが、セーフガードは米国も発動しており、米国の身勝手な批判は不当なものだ。

NTTが6万人削減の大リストラ
 NTTは五月七日、NTT東西地域会社十一万三千人の労働者のうち、三年後をめどに六万人を子会社に移動させる合理化計画を発表した。これは、これまでにも発表されていたリストラ案の規模を拡大させたもの。このうち、五十一歳以上や転勤を希望しない労働者については、現在より二〇〜三〇%賃金を切り下げて再雇用するという。労働組合が合理化を容認する中で、七九年のピーク時には三十二万人いた労働者が、二〇〇四年には五万人にまで削減される。

全世帯の消費支出が5年連続減少
 総務省が八日発表した二〇〇〇年度の全世帯の家計調査によると、一世帯当たりの消費支出は月平均三十一万七千二百六十七円となり、物価変動の影響を除いた実質で、前年度に比べ、〇・五%減った。前年度を下回るのは五年連続で、一九六四年以降で最長を更新した。サラリーマン世帯の所得の落ち込みは大きく、昨年度の実収入は実質で一・五%減と四年連続でマイナスとなった。勤労世帯の生活苦がいっそう深まっている。