20010425

日本のできごと

2000.4.10〜2001.4.19


えひめ丸事件で軍法会議さえ開かず
 米海軍調査会議がえひめ丸衝突事件について、ファーゴ太平洋艦隊司令官に出した勧告の内容が四月十八日、明らかになった。勧告は、米原潜のワドル前艦長らに過失はあったとしながらも、刑事責任を問う軍法会議にかけない「司令官による処罰」を求めている。これに、ファーゴ司令官も同意したという。この処罰は、懲戒、減俸程度の軽いものである。またしても、米国は日本人を殺しても、軽い刑罰ですまそうとしている。日本政府は、断固たる態度で対処することが求められている。

自民党、総裁選でも地方が「反乱」
 自民党総裁選挙は十二日、麻生経済財政担当相、橋本行革担当相、亀井政調会長、小泉元厚相の四人が立候補した。この間の長野、栃木、千葉に続いて、秋田県知事選でも自公保の候補が現職に二倍の差をつけられたように、国民の自民党離れが進んでいる。そのため、参議院選挙をにらみ、各県連に三票を与えるなど党改革の姿を示そうとしたが、地方組織票では小泉が圧勝するなど、「反乱」も起きている。それほどに自民党支配の危機は深く、危機乗り切りのためさらなる政党再編が始まるであろう。

「二つの中国」策す李登輝ビザ発給
 政府は十九日、台湾の李登輝前「総統」の訪日に査証(ビザ)を発給する方針を固めた。政府は李登輝の訪日が病気検査のためであり、「人道上の配慮」によるものとしている。また、政治活動をしないという制限をつけていると説明している。だが、李登輝は「前『総統』として訪日する。(政治活動禁止の)受諾書には署名しない」と、「治療外交」を強調している。昨年の英国、チェコ訪問に続く今回の訪日は、彼がかねてから主張している「一つの中国、一つの台湾」を固定化する策動である。わが国がこれを認めることは、一つの中国を確認した日中共同声明、平和友好条約に違反する。また、米国は李登輝に五年間のビザを発給し、中国と対決姿勢を強めている。したがって、これは日米による中国への内政干渉・敵視策であるといえる。なお、民主党の鳩山代表も十八日、民主党としても政府に発給を求めていくと述べるなど、政府と足並みをそろえる反動ぶりを示している。

景気悪化を公式に認める
 麻生経済財政担当相は十三日の月例経済報告関係閣僚会議に、四月の月例報告を提出した。報告は景気の現状について「弱含んでいる」とし、基調判断で三カ月連続して下方修正した。米国の景気減速を受けて、さらに景気後退が強まり、鉱工業生産では一〜三月期の指数は前期比マイナス三・三%とになる見通し。経営者が感じている業況判断も「改善に足踏み」から「製造業を中心に急速に悪化」に改められた。なお、麻生担当相は「景気が後退局面に入っている可能性がある。デフレ下の不況となる」と、デフレスパイラルの恐れも示した。

NTT、3万人削減へ

 日本電信電話(NTT)の東西地域会社は、大幅な合理化を行うことを十一日までに決めた。両社は、電話会社事前登録(マイライン)による市内電話料金の引き下げ競争による経営「悪化」を口実にしている。これにより、すでに発表した合理化をさらに強めて、来年夏までに通信サービスの販売、保守・管理などの部門を分社化し、三万人を削減する。しかも、給与水準を現在の七、八割に引き下げるという。こうした合理化にどう反撃するか、まさに労組の真価が問われている。

ゼネコン淘汰(とうた)へ競争原理
 国土交通省は十六日、総合建設会社(ゼネコン)の整理・再編を進めるため、信用力に応じて差が出るような仕組みなどを決めた。現在、大規模公共事業の発注にあたっては、ゼネコンの倒産に備え、総額の一割を取引銀行が保証しているが、信用力の弱いゼネコンについては、保証金を三割に高める。こうして信用力の弱いゼネコンは銀行から見放され、淘汰が進むことになる。だが、準大手ゼネコンが倒産した場合、一社当たり下請けを含めて五万人が失業するといわれている。準大手ゼネコンは約五十社といわれており、整理・再編が進めば大量の労働者が職を失うことになる。