20010415

日本のできごと

2000.3.30〜2001.4.9


大銀行救済、国民犠牲の緊急経済対策
 政府・与党は四月六日、緊急経済対策を決定した。対米公約させられた、主要銀行の不良債権処理などが主な内容となっている。既存の不良債権は二年以内に処理することとされたが、実施されればリストラ、企業倒産が多発し、内閣府の試算でも十万〜二十万人の労働者が失業に追い込まれる。自民党の支持基盤である建設業をはじめ不動産、流通業などにも犠牲が集中する。また、「銀行保有株式取得機構」が設立され、銀行が保有する株を買い上げる。機構が取得した大量の株式が市場に出まわれば株価のいっそうの下落も懸念され、その損失は国民の血税で穴埋めすることになる。大銀行救済のために、国民に多大な犠牲を強いるものだ。(関連記事)

民主党、再度「銀行に公的資金」
 民主党は三日、構造改革と不良債権の抜本処理を盛り込んだ経済対策を発表した。金融機関の不良債権問題は「二年以内に抜本処理する」とし、経営危機の銀行はどしどし破たんさせるとしている。また、金融危機の恐れがある場合は、またもや「公的資金の注入も検討する」などの内容。大銀行へのサービスぶりは、自民党を上回るものだ。民主党案は、倒産や失業者の増大もやむなしと主張し、国民犠牲の姿勢は、政府・自民党の方針と何ら変わらない。

米貿易障壁報告、対日要求強める
 米通商代表部(USTR)は三月三十日、米国からみた貿易上の問題点を相手国別にあげた「二〇〇一年版・外国貿易障壁報告」を発表した。日本については電気通信分野の競争促進やコメ市場開放が不十分と指摘し、いっそうの市場開放、規制緩和などの構造改革を求めている。また、不良債権の早期処理による経済再生を強調している。米景気が急減速する中で、米産業界からの対日要求がさらに強まってくるのは必至だ。

新教科書に中国・韓国などが抗議
 文部科学省は四月三日、「新しい教科書をつくる会」による中学歴史教科書の検定合格を発表した。韓国政府は三日、「過去の過ちを美化する内容を含んでおり、深い遺憾の意を表明する」と批判し、九日には駐日大使の一時帰国を決めた。また、中国の陳健駐日大使も「強い不満を表明する。健全で安定的な中日関係の発展に悪い影響をもたらす」と警告。アジア各国からも強い抗議の声があがっている。侵略戦争を美化する教科書を合格させた、日本政府の責任が問われる。 (関連記事)

米原潜が佐世保に無通告入港
 米海軍の原子力潜水艦シカゴが二日、日米政府間でとりきめた事前通告をしないまま長崎県佐世保港に入った。事前通告なしの寄港は六四年以来初めて。佐世保市長は「安全を守る立場から、原潜の寄港について十分考えなければならない」と会見し、今後寄港拒否を含め厳しい対応をとる考えを示した。三日には、青森県三沢基地のF 戦闘機が、天ケ森対地射爆撃場沖の太平洋上に墜落。三沢市漁協は九日、海上抗議デモを行った。同射爆撃場は六カ所村の核燃料サイクル施設の約十キロ先にある。えひめ丸事件も解決しない中で、在日米軍の横暴なふるまいが続いている。(関連記事)

3農産物のセーフガード発動へ
 谷津農相は三月三十日、中国からの輸入が激増しているネギ、生シイタケ、畳表の三農産物で暫定的な緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動に向けた手続きに入ると発表した。発動されれば初めてのケースとなり、関税率を引き上げて、国内価格と輸入価格の格差をなくすことになる。農民の強い要求であり当然の措置であるが、「七月の参院選をにらんだ国内農家への配慮」との声も聞かれる。

有事基本法制定、研究チーム発足へ
 日本への武力攻撃に備えた有事法制の立法化に着手するため、政府が四月上旬にも関係省庁の実務者による研究チームを発足させることが四月二日、明らかになった。中期課題として、日本国内での米軍の行動に関する規定や、国民の権利義務の制限を明記した有事基本法の制定を検討する。周辺事態法の制定に続き、米国の戦争策動に協力する体制づくりが進められようとしており、きわめて危険な動きだ。