20010405

日本のできごと

2000.3.20〜2001.3.29


日ロ首脳会談、北方領土問題は進まず
 森首相とロシアのプーチン大統領は二十五日、シベリアのイルクーツクで北方領土問題などで会談し、共同声明を発表した。ロシアは、平和友好条約を締結後、歯舞、色丹両島を日本に引き渡すとした五六年の日ソ共同声明を出発点とすると初めて文書で確認したが、大統領は直ちに返還に応じるわけではないとした。大統領はその上、東シベリア開発への協力、米国の国家ミサイル防衛(NMD)構想に対し、慎重に行うように求めた。森首相は引退への花道に二島返還の道筋をつけたとしているが、ロシアにあしらわれ北方領土問題は大して進展しなかった。

政府、公務員制度改悪を決定
 政府は公務員制度改革の大枠を二十七日、行政改革推進本部で決定した。政府は六月に新たな公務員制度の基本設計をまとめ、国家公務員法などの改正作業に着手する。これによると公務員の給与を「職務遂行能力に基づく部分(能力給)」「職務の責任の大きさに基づく部分(職責給)」「具体的にあげた業績に基づく部分(実績給)」の三つの要素に分け、能力・実績主義を徹底するという。さらに人事院が給与を定める級別定数制度を廃止し、各省が給与設定するという。このように給与は民間並みの競争・実績主義にしながら、スト権など労働基本権についてはあいまいにするなど、露骨な公務員攻撃である。

郵便職員1万人削減の合理化政策
 総務省・郵政事業庁は二十九日までに郵便事業の合理化案をまとめ、労組に提示した。合理化案は今後五年間で大規模局を二〜三割、人員を最低でも一万人削減するなど過去最大の合理化となる。郵便事業の合理化は、宅配便業者との競合で小包取扱量が減少しており、独立採算の郵政公社への移行を口実としたもの。これまで全逓中央が闘争をやめ、労使協調を進めてきた結果がこの大合理化であり、闘わなければ職場と仲間は守れないことを示している。

電機、本格的なリストラへ
 NECは二年後をめどに情報通信関連機器の国内約十工場を分離することを二十八日までに決めた。半導体を除く十七工場のうち、パソコンなどの組立工場を生産するだけの電子機器の製造受託サービス(EMS=独自ブランドをもたず、複数の会社から製造を請け負う)会社として独立させ、不採算部門の五工場は売却する見通し。富士通も四工場と子会社の再編に着手するとしている。また、東芝はテレビの組立工場すべてを中国に移転。松下もテレビなど製造分野別の事業部体制を廃止し、製造部門を切り離しEMS化するなど、電機会社は四月からの会社分割法施行に伴い、本格的なリストラ攻撃を強めている。

日出生台、3町議会が演習中止決議
 在沖縄米軍が実弾演習を行う大分県日出生台演習場を抱える玖珠町、九重町、湯布院町の町議会は二十三日、政府に米軍演習の中止と日米地位協定の見直しを求める意見書を採択した。意見書では訓練の中止と日米地位協定について、「沖縄県での米兵及び家族による事件など、総合的には日米地位協定が問題解決を困難にさせている」としている。実弾演習の本土移転後、演習場関連自治体での中止要求決議は初めて。

HIV訴訟、無罪の不当判決
 薬害エイズ事件で、業務上過失致死に問われた安部・元帝京大副学長の判決が二十八日、東京地裁で言い渡された。判決は、「過失には当たらない」と、安部に無罪を言い渡した。大阪地裁は昨年二月に製薬会社の旧ミドリ十字の元社員らに有罪を言い渡しており、正反対の判決となった。今回の判決に対して、被害者からは「薬害で何人も殺しても、医療は責任をまったく取らなくてよいのか」との激しい批判の声があがっている。