20010315

世界のできごと・人民のたたかい

2000.2.28〜2001.3.9


米予算案、金持ち優遇の減税打ち出す
 米ブッシュ大統領は二月二十八日、二〇〇二会計年度予算案を議会に提出した。十年間で一兆六千二百億ドルの減税を打ち出す一方、国防費を四・八%増加させ三千百五億ドルとしている。また、国家ミサイル防衛(NMD)構想目的を含んだ補正予算を提出する方針。だが、減税案は所得の上位一%に減税総額の二二・三%が及ぶという金持ち優遇。しかも、年間予算は向こう十年間で平均三・一%の経済成長を見込んで策定されているが、米経済の減速は急だ。金持ち優遇では景気は浮揚せず、景気悪化で財政の基盤が揺らぐ可能性も高いといわれている。

米韓首脳会談、ブッシュは北朝鮮敵視
 訪米した韓国の金大中大統領は三月七日、ブッシュ大統領と会談した。会談では、金大統領が米国と朝鮮民主主義人民共和国との対話推進を促した。だが、ブッシュは「北朝鮮の指導者には懐疑心をもっている」などと敵意をあらわにし、両国の思惑の違いが表面化した。米政府内では九四年の「米朝核枠組み合意」の見直しも検討されており、軽水炉支援を火力発電所に置き換えようという動きもある。ブッシュの露骨な北朝鮮敵視政策は、東アジアの緊張を激化させる危険なものだ。

プーチン、韓国、ベトナムを歴訪
 ロシアのプーチン大統領は二月二十八日、訪問中の韓国国会で演説した。プーチンは、金・韓国大統領の「太陽政策」支持を表明し、韓国はロシア製兵器の購入などを決めた。また、プーチンは直後にベトナムを訪問、三月一日にチャン・ドク・ルオン大統領と会談した。ロシア大統領のベトナム訪問は、旧ソ連時代も含め史上初。両国は「戦略的パートナーシップ宣言」で合意、戦域ミサイル防衛(TMD)構想反対などをうたった。プーチンの歴訪は、米国をけん制するとともに、アジアでの影響力強化を狙ったものと思われる。

中国全人代、7%成長を提起
 中国の国会に相当する第九期全国人民代表大会第四回会議が五日、開会した。「第十次五カ年計画」の提案を行った朱鎔基首相は、今後五年間に年平均七%前後の経済成長をめざし、二〇一〇年のGDPを二〇〇〇年の二倍化させると提起した。このため、世界貿易機関(WTO)加盟を前提にした国営企業改革などとあわせて、個人消費拡大に力点をおく方針。朱首相はあわせて、地域格差や雇用問題、汚職・腐敗などの解決を訴えた。


 スロバキアで二日、金属労働者二千人が賃上げと雇用確保を求め、ハンガリーなどとの国境五カ所を封鎖し、「仕事と賃金を」訴えてデモ行進した。チェコやポーランドの労働者も支援のため封鎖に合流した。労働者は、民営化によって二〇%を超える失業率と低賃金に苦しんでいる。
 ウクライナで九日、クチマ大統領の退陣を求める一万人の市民がデモを行い、警官隊と衝突した。
 フランスで五日、現行約二〇%の付加価値税(消費税)の減税を求め、レストラン経営者がイタリアやスペインとの国境を封鎖し、デモ行進をした。経営者は、「外国のレストランに客をとられている」と、税率を五%程度に下げることを主張している。