20010315

日本のできごと

2000.2.28〜2001.3.9


森首相が事実上の「退陣」表明
 野党四党から提出された森内閣に対する不信任案は三月五日、衆議院本会議で採決の結果、与党の反対多数で否決された。森内閣の支持率はすでに三%という調査結果もあり、国民はすでに見放しているが、公明党などは「不信任案には反対だが、森首相への信任ではない」などと党利党略で、政権維持のためだけに反対票を投じた。その後、森首相は自民党総裁選の前倒しを認めるなど、事実上の退陣表明を行うなど、国会と国民の乖離(かいり)を改めて示した。

えひめ丸事件、米国で査問会議始まる
 ハワイでえひめ丸事件に関する米海軍査問会議が五日から始まった。会議では、米原潜が帰港時間に間に合わせるために、潜望鏡を上げる時間や音波探知機などを使う時間がなかったことなど、えひめ丸沈没事件の原因は、すべて米軍側の落ち度によることが明らかになりつつある。行方不明者の家族からは強い怒りが訴えられたが、過去の事件で軍法会議での有罪はなく、日本政府はき然として米国の責任追及と厳罰、補償を要求すべきだ。

民主党、「つくる会」教科書擁護論も
 韓国の金大中大統領は一日、「新しい歴史教科書をつくる会」が編集した教科書について、歴史をわい曲するものだと批判した。韓国では連日、この問題で抗議デモが行われている。また、中国の唐外相も六日、重ねて日本政府に責任をもって対処するよう求めるなど、すでに外交問題になっている。ところが民主党は「教科書問題検討ワーキングチーム」で議論を始め、月内に中間報告をまとめ予定だが、メンバーからは「つくる会」に賛成する立場で「諸外国からの干渉は許すべきでない」などの暴論が出るほどである。ここでも、民主党の反動的な姿が表れている。(関連記事)

有明海、水門開放で農相がペテン
 農水省の第三者委員会「有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会」は三日、初会合を開いたが、水門開放の結論は出なかった。この会合は、谷津農相が「第三者委員会で一人でも開放して調査すべきだとすれば、開放する」と有明漁民をなだめてきたものだった。そのため参加した福岡、佐賀、熊本の漁連会長は「もう次回からは来ない」と怒りを強めていた。農相の場当たり発言に振り回された形だが、水門をつくった政府の責任は重く、漁民の要求に一刻も早くこたえて、水門を開けることが解決への道である。

高齢者にさらに厳しく
 厚生労働省の高齢者医療制度等改革推進本部は五日、二〇〇二年度に予定される医療制度の改革についてまとめた。まとめは、高齢者医療費が増え続けることから、高齢者の保険料や患者負担について「応分の負担」を求めるとしている。また、同省は特別養護老人ホームの入所者の自己負担を引き上げる方向ですでに検討に入った。部屋代や水光熱費などの生活費を自己負担にするというもの。これらは、いずれも高齢者に負担を押しつけるもので、大反発が予想される。

日銀追加利下げ
 日本銀行は二月二十八日の政策委員会・金融政策決定会合で、景気下支えと物価下落の歯止めを狙った政策金利の引き下げを決定した。日銀が政策的に誘導する無担保コール翌日物金利(金融機関が資金を融通し合う市場金利)の目標を〇・一%引き下げて年〇・一五%とし、公定歩合も〇・二五%とした。日銀は十三日に公定歩合を下げたばかりだが、株価下落、生産の落ち込みなどが続いたため、矢継ぎ早の金融緩和に踏み切った。だが、下げ幅は〇・一%にすぎず、危機的な日本経済にとってその効果はきわめて小さいといわれている。

鉱工業指数過去最大の3・9%低下
 経済産業省が二十八日に発表した一月の鉱工業生産指数は、一〇三・二と前月比三・九%低下した。一九九五年を一〇〇とする現行基準では、九三年三月と並ぶ過去最大の下げ幅となった。米景気の減速によって、輸出用の自動車、パソコン用部品などの生産が落ち込んだことが要因。また経済産業省は、生産の基調判断を「緩やかな上昇」から「横ばい」に下方修正したが、これは二カ月連続の下方修正となった。