20010215

世界のできごと・人民のたたかい

2000.1.26〜2001.2.9


米経済、「劇的に減速」
 米連邦準備制度理事会(FRB)は一月三十一日、金利を現行年六・〇〇%から五・五〇%、公定歩合を現行五・五〇%から五・〇〇%に引き下げ、即日実施した。今年に入り一月三、四日に続く追加利下げで異例の措置。グリースパンFRB議長は米経済について「劇的に減速しており、経済成長はゼロにかなり近い」と厳しい見方を示し、危機感を示した。しかし同日、商務省が発表した米国の国内総生産(GDP)成長率は予想以上の鈍化を示す一・四%となり、翌月二日発表された一月の失業率は四・二%と前月比〇・二ポイント上昇している。米経済の劇的な減速が世界経済に与える影響は大きく、市場開放要求などわが国に対する圧力も強まるであろう。

ダボス会議、グローバル化に批判の声
 スイスのダボスで開催されていた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が三十日、閉幕した。同会議は毎年、世界の政治家、経営者などが経済問題などについて討論するもの。今年のテーマは「分断の架け橋」で、グローバル経済による先進国と途上国の格差について議論されたが、「グローバル化と言うとき、そこには貧困という構造的失敗がある」(ムベキ・南アフリカ大統領)などと途上国を中心に現在のグローバル経済に対し批判の声が相ついだ。ウォルフェソン世界銀行総裁は「短絡的に自由なグローバル化を否定せず、解決する方法を見つけるべき」と発言したが、グローバル化が生む経済格差によって南北間の溝が浮き彫りになり、皮肉な結果に終わった。

イスラエルに右派首相、和平絶望的へ
 イスラエルの首相公選が二月六日行われ、右派野党・リクードのシャロン党首が現職のバラク首相を大差で破り当選した。シャロンは八二年、イスラエル軍がレバノンに侵攻して三千人ともいわれるパレスチナ人が虐殺された当時の国防相。また昨年九月にはエルサレムのイスラム聖地を訪問し、イスラエル治安部隊とパレスチナ住民の衝突を引き起こした人物。アラブ各国は警戒感を強めており、シャロンの当選により米国の仲介による「和平プロセス」は絶望的だ。

広がる北朝鮮との国交樹立
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は六日、カナダと国交を樹立したと発表した。先進七カ国ではイタリア、英国に次いで三番目ですでにドイツも北朝鮮との国交樹立を閣議決定している。翌七日にはスペインとの国交も樹立された。いまだに北朝鮮との国交樹立に踏み出せないでいるわが国の態度が問われている。


 GM傘下の英国ボクスホール自動車ルートン工場閉鎖を中心とするリストラ計画に反対して、英国、ドイツ、スペイン、ポルトガル、ベルギーのGM労働者が統一行動で闘いを続けてきたが、GMボクスホール社は二月五日、ルートン工場の生産を同国の別工場に移すことで整理解雇を避けると発表し、リストラ計画は撤回された。国境を越えた労働者の闘いが勝利した。
 フランスでは三十日、労働総同盟(CGT)、民主労働同盟(CFDT)など主要七労組が公務員の賃金引き上げを求め統一ストライキとデモを行い約六十都市で十五万人が参加した。パリでは教員、官公庁職員、郵便局員ら約三万五千人が市内をデモ行進した。
 英国・ロンドンの地下鉄運転手が政府が計画している一部民営化は安全軽視だとして二月五日、第一波の二十四時間ストに入った。列車運転士組合(ASLEF)は「経営側は安全対策に真剣ではない」と批判している。