20010115

日本のできごと

2000.12.10〜2001.1.9


省庁再編、権限強化した内閣府新設
 政府は二〇〇一年一月六日、中央省庁再編による新体制に移行した。大競争時代に生き残るため、強力で効率的な政府をめざしたもの。これまでの一府二十一省庁は、一府十二省庁に統合された。首相の権限強化を狙う内閣府、公共事業予算の七割以上をにぎる国土交通省、職員数が三十万人を超す総務省などが誕生した。新たに副大臣(二十二人)、政務官(二十六人)制が導入された。省庁巨大化で、官僚主導が強まるとの批判も高い。

2001年度予算、国債発行が最高に
 政府は二〇〇〇年十二月二十四日、二〇〇一年度予算の政府案を決めた。一般会計は二・七%減の八十二兆六千五百二十四億円で、公共事業関係費は今年度と同じ九兆四千億円、防衛費は〇・二%増の四兆九千三百億円となった。国債発行総額は九十八兆円で過去最高。来年度末の国債発行残高は三百八十九兆円、国と地方の長期債務残高は六百六十六兆円と、いずれも過去最高を更新した。国民一人当たり五百二十七万円の借金を背負うことになる。国家財政は危機的状況だ。

次期中期防衛力計画に25兆円
 政府は十二月十五日、安全保障会議と閣議で、次期中期防衛力整備計画(二〇〇一〜二〇〇五年度)を決定した。総額は現中期計画の三%増の二十五兆円。空中給油機、輸送ヘリが搭載できる新型護衛艦、次期輸送機・哨戒機の国産開発などが盛り込まれている。弾道ミサイル防衛(BMD)の日米共同技術研究も引続き推進する。日米軍事同盟下での軍備増強はアジア諸国に敵対する道であり、わが国の平和にとってもきわめて危険だ。

国民会議、教育基本法見直しを提言
 「教育改革国民会議」(森首相の私的諮問機関)は十二月二十二日、最終報告をまとめ、教育基本法の見直し、小中高校生の奉仕活動の強制、問題教師の配置替え、免職などを提言した。森首相は「次期通常国会を教育改革国会と位置づける」と表明。国際競争に勝てる人材育成のため、子供の差別化を進めようとしている。だが、公明党は基本法見直しに反対の姿勢を示しており、与党の足並みが乱れている。

米国の認知狙う共産党
 共産党の志位委員長は一月九日、米国との関係について「可能な条件ができれば、訪米して進歩的な諸団体や議会の方々と懇談したい」と述べ、共産党委員長として初めてとなる訪米に意欲を示した。また、「米国は民主主義の伝統がある。進歩的な伝統、制度は大いに研究する余地がある」と、米国をほめたたえた。共産党は、参院選で与党が過半数割れした場合、政策を棚上げして政権に参加する用意があることも表明しており、政権入りのお墨付きを米国からもらおうというもの。

男性の完全失業率が5%に悪化
 総務庁が十二月二十六日に発表した十一月の完全失業率は、前月比〇・一ポイント上昇し四・八%となった。男性は〇・一ポイント上昇して五%となり、七カ月ぶりに五%台を記録した。失業者数は三百九万人で、前年同月比十四万人増えた。企業のリストラなどで離職した非自発的失業者は三カ月連続で増えている。仕事がなく、かつ仕事を探してもいない「潜在的失業者」は四百万人を超えており、雇用情勢はきわめて厳しい状況だ。

昨年の賃上げ率、過去最低に
 労働省が十二月二十一日に発表した二〇〇〇年の賃金引き上げ実態調査によれば、一人当たりの平均賃上げ額は月額四千百七十七円、前年比一・五%増にとどまった。額・率ともに六九年の調査開始以来、過去最低となった。十一月のサラリーマン世帯の消費支出が前年同月比で二・三%減少するなど、労働者の家計は引き続き苦しい。