2001215

世界のできごと・人民のたたかい
11/29〜12/9


米韓行政協定改定交渉が決裂
 韓国のソウルで開かれていた米韓行政協定(在韓米軍地位協定・SOFA)改定交渉は十二月九日、合意にいたらず決裂した。高揚する反基地運動に押された韓国政府は、米兵被疑者身柄の早期引き渡しや米軍による環境順守義務の明文化を要求した。しかし、米側は身柄の引き渡し時期を早める代償として懲役三年以下の犯罪についての裁判権を放棄することを要求するなどした。こうした米国の横暴な姿勢に対し、「不平等なSOFA改定国民運動」は連日、SOFA全面改正を求める集会を開いた。

欧州緊急対応部隊創設へ
 フランスのニースで行われていた欧州連合(EU)首脳会議は八日、緊急対応部隊を中心とする軍事機構を創設することで合意した。発足は二〇〇一年となる見込みで、米国抜きの安全保障機構となる。米国は欧州での発言権低下を恐れ、作戦の立案などを北大西洋条約機構(NATO)にゆだねるよう求めてけん制、英国も米国のお先棒をかつぎ、独仏などと対立した。緊急対応部隊の創設は、欧州諸国のNATO離れの強まりといえ、注目できる。また、EUの意思決定方式を全会一致から多数決とする問題では独仏が対立、合意にいたらなかった。

米企業業績悪化で景気減速傾向に
 米連邦準備制度理事会(FRB)は六日、政策の判断材料となる「地区連銀経済報告」を発表した。ファーガソンFRB副議長は、経済政策をインフレ警戒の引き締め型から「中立」に移行させることを示唆した。これは、コンピュータ、半導体などハイテク業界の業績が軒並み予想を下回り、店頭株式市場(ナスダック)総合指数が最高値であった三月の半分程度にまで一時下落するなどしたため。米国のバブルを支えたインターネット関連企業では事業計画の縮小案も目立つなど、米経済の減速は明らかとなっており、先行きは予断を許さない。

イラク、石油輸出を停止
 イラク国営石油会社(SOMO)は一日、外国石油会社に対し、一バレルあたり〇・五ドルの割増金の支払いを求めた。また、イラクが提案した石油輸出価格を国連が拒否したため、同日より石油輸出を停止する措置をとった。これは、国連管理下以外に石油輸出を禁止されている同国が、制裁措置の解除を求めて揺さぶりをかけたものとされる。これにより、石油相場はさらに高騰する可能性があり、すでに戦略備蓄を取り崩している米国は、あわててサウジアラビアやクウェートに増産を依頼している。イラクは最近、カザフスタン、ウクライナなど旧ソ連四カ国への大使館新設を発表するなど、米国による制裁網を突破しようとする動きを強めている。


 韓国で二日、構造改革政策にともなうリストラに反対し、銀行労働者が金融監督院前で集会を行った。この場で労組幹部は、闘う決意を示すために全員髪をそり丸坊主となった。
 インドで五日、郵政労働者六十万人が無期限ストに突入した。労働者は、賃上げとパート労働者への年金補償などを求めている。スト参加者は七日、首都ニューデリーでデモを行った。
 フランスで行われているEU首脳会議に向け、「反グローバル化」を訴える労働者や市民団体など約八万人が七日、デモを行った。狂牛病問題での補助金積み増しを求める農民団体も合流、国際会議に向けたデモとしては欧州最大の規模となっている。
 トルコの首都アンカラなどで一日、国際通貨基金(IMF)の経済政策押しつけによる失業や社会保障後退に抗議デモが行われた。アンカラ、インスタンブールでそれぞれ三万人の労働者は「IMFは出ていけ」と抗議した。


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