2001205

日本のできごと
11/20〜11/29


民主党が緊急事態法制原案つくる
 民主党がまとめた「緊急事態における法制のあり方」原案が、十一月二十九日までに明らかになった。原案では有事にいたるまでの事態、日本有事、大規模な自然災害発生時の対応を想定。緊急事態全般に対して「国家緊急事態基本法」の制定を求めた上で、平時に領土、領海、領空を守るために、不法侵入などを排除する「領域警備」に自衛隊が出動できるようにし、海上警備行動などでの武器使用緩和を求めている。自衛隊の行動範囲拡大や有事法制を先取りした提案であり、民主党の反動的本質がさらに鮮明となった。

共産党大会、党規約を全面改定
 共産党は二十四日、新たに不破議長、志位委員長を選出して第二十二回党大会を閉幕した。大会では自衛隊の活用容認を盛り込んだ大会決議を採択するとともに、党規約を四十二年ぶりに全面改定、「労働者階級の前衛政党」「社会主義革命」などを明記した前文を削除した。大会後、次期大会で綱領の見直しを行うことも決定した。社会主義を放棄して政権入りをめざす月並みなブルジョア政党への変身に、マスコミや各党もこぞって歓迎の意を表明した。共産党の変身は労働者階級への許しがたい裏切りであり、ますます労働者から見放されるに違いない。

厳罰化進める少年法改正案が成立
 刑事処分の対象年齢を現行の「十六歳以上」から「十四歳以上」に引き下げるなど、厳罰化を柱とする改正少年法が二十八日の衆院本会議で、与党三党と民主、自由党の賛成で可決、成立した。少年犯罪続発を口実に、四九年の施行以来半世紀ぶりの改悪となった。国会での十分な議論もないままの成立に「少年の更生をめざす少年法の理念に反する」との疑問の声も多い。子供たちをとりまく社会環境が悪化していることが少年犯罪の原因の一つであり、厳罰化では問題の解決にもならない。

参院選めあてで公共事211件を中止
 建設、運輸、農水省は二十八日、与党が中止を検討するように要請していた公共事業二百三十三件のうち国営中海干拓事業(島根県)など二百十一件を中止すると発表した。与党は「継続した場合に比べて約二兆五千億円の事業費を削減できる」としているが、すでに凍結状態だった事業も含まれており、削減効果は年百五十億円程度にとどまる。自民党は六月の衆院選で、地方への財政バラマキを野党から批判され都市部で惨敗したことから、参院選めあてに公共事業の見直しに手をつけたもの。

自治省が外形標準課税導入案
 自治省は二十一日、法人事業税(都道府県税)の課税ベースを広げる外形標準課税の導入案を発表。企業の所得に課税する現行方式と雇用者数など事業規模への課税の併用が柱。これに対し経団連など経済五団体は二十二日、「公平さを欠き雇用、経済に対して悪影響をもたらす」との統一見解を発表した。政府内でも通産省が反対する姿勢を明らかにしている。トヨタ自動車は年間で四十六億円の負担減になるなど、高収益企業では減税になる見通しだ。他方で、赤字が多い中小企業の負担が増大するきわめて不当なものだ。

酒、パチンコなどあいつぎ増税案
 大蔵省は二十二日までに、日本酒やワインなど醸造酒にかかる酒税の増税案を業界団体に提示した。それによれば二〇〇一年度の税制改正で日本酒の税率を蒸留酒と同水準に引き上げるほか、ワインの税率も現行の約二倍に引き上げる。業界団体は販売低迷や収益悪化につながると強く反対している。発泡酒、パチンコ税など国民生活を直撃する増税案も相ついでおり、業界団体や国民への犠牲の押しつけは許されない。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000