2001125

世界のできごと・人民のたたかい
11/10〜11/19


APEC、グローバル化に批判の声
 ブルネイで行われていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)は十一月十六日、首脳宣言を採択して閉幕した。宣言では、世界貿易機関(WTO)の次期多角的貿易交渉(新ラウンド)を二〇〇一年中に開始することや、域内の情報化推進などが明記された。しかし、新ラウンド開始時期の明記にマレーシアやインドネシアが抵抗、デジタル化に対しても「電気もない貧しい地域でインターネットをどう活用できるというのか」など、先進国主導の貿易自由化に批判や懸念の声が相ついだ。また、朝鮮民主主義人民共和国の作業部会へのゲスト参加も決まった。

クリントン初の訪越で首脳会談
 訪越中のクリントン米大統領は十七〜十八日、レ・カ・ヒュー共産党書記長らと会談した。米大統領のベトナム訪問は、ベトナム戦争終結後初めて。米側には、中国へのけん制などの意図もあるとされる。会談でベトナム側はベトナム戦争被害に対する支援拡大を求め、米側は六百万ドルの経済支援をはじめ、地雷除去などを行うと表明、行方不明兵士の捜索継続でも合意した。また、クリントンは人権・民主化問題で「改善」を求めたが、ベトナム側は「民主化の概念が違う」(ファン・バン・カイ首相)と突っぱねた。

ILOが「人権」でミャンマー制裁
 国際労働機関(ILO)理事会は十六日、ミャンマーで「強制労働」が行われているとし、十一月三十日から同国に対し制裁を行うことを決めた。制裁は、国際機関の現地事務所閉鎖や、加盟国に「関係見直し」を求めるなどの内容。理事会では、東南アジア諸国や中国などが制裁延期を求め、ミャンマー政府も国内法の改善を約束したにもかかわらず、「人権」を口実に干渉を強める米欧に押し切られたもの。ミャンマーは対抗措置としてILOへの協力拒否を打ち出している。

ビッグ3、減産・レイオフへ
 米ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、ダイムラークライスラーは十九日までに、二十日から三日間の減産に踏み切ることを決めた。これにともない、GMの一万人を最高に、労働者一万五千三百人が一時解雇(レイオフ)される。米国の新車販売の十月実績が前年同月を割り込むなど、米景気の減速傾向が反映した格好。労働者は不満が高まらざるを得ない。


 韓国で十二日、全国民主労働組合総連盟(民主労総)が全国労働者大会を開催した。大会には一万三千人が参加、政府主導の企業整理による失業増を「新自由主義路線を取る政府の間違った構造調整政策によるもの」と批判した(関連記事4面)。
 フィリピンで十四日、エストラダ大統領の退陣を求める全国ストライキが行われ、交通機関は約八割が止まり、小中学校も休校となった。また、証券取引所も初めてストライキに参加、マニラでは三万人がデモを行った。
 タイのバンコクで十六日、ペトロケミカル・インダストリーのリストラを決定する債権者会議に対して労働者数千人が抗議行動を展開、会議を延期に追い込んだ。債権者は主に外資系銀行で、労働者は外資主導の「再建」、解雇に反対したもの。
 オランダのハーグで開かれている地球温暖化防止会議(COP6)に向け十八日、世界五十カ国以上から集まった非政府組織(NGO)など五千人が会場前に土のうを約五百メートルにわたって積み上げ、アピールを行った。土のうは、温暖化による洪水や海面上昇を象徴したもの。


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