2001115

世界のできごと・人民のたたかい
10/30〜11/9


米大統領選の混乱、世界に恥じさらす
 注目の米大統領選挙が十一月七日行われた。結果は共和党のブッシュ、民主党のゴア両候補の大接戦となり、投票の再集計など、当選者確定に十日以上かかる異常な事態となった。これまで米国は、他国の政治制度を非難し、カンボジアなど他国の選挙に横暴に介入してきたが、いまや自ら醜態をさらした。「米政府は他国の制度が不完全だと干渉するのはやめるべきだ」(マレーシア首相府相)などと世界から批判も噴出しており、国際的威信をいちだんと落としている。投票率も、推定五〇%超で史上最低だった前回をやっと上回ったに過ぎず、有権者のほぼ半数は棄権した。大接戦となった背景としては、共和、民主両陣営の政策が基本的に同じで有権者の選択肢がないこと、有権者の意識の多様化などが指摘されている。

韓国で大リストラ計画、闘い激化
 韓国政府の「金融改革、企業改革の年内達成」方針を受けて、主要銀行二十一行は三日、再建が見込めない企業五十二社を、清算、更生法適用などで強制整理すると発表した。整理対象には東亜建設、眞露食品、サムスン商用車などの大手、中堅企業が含まれている。業界第二位の大宇自動車は、三千五百人の人員削減など再建計画を打ち出したが、八日に倒産。政府は、これまで膨大な公的資金を金融機関に投入し金融システムの再生をめざしてきたが、信用力が回復しないため改革強行に踏み切った。これに対して、サムスン商用車工場の労働者約九百人が工場内でバリケード構築で闘ったり、さらに民主労総、韓国労総とも十一〜十二月に数万規模の集会、ゼネストを計画、反対闘争を強めようとしている。

罷免要求で陳台湾「総統」が苦境に
 台湾立法院は七日、野党国民党が提出した「総統」罷免の手続きを定めた罷免関連法案を可決した。これで、野党が要求している陳水扁「総統」の罷免に向けて法整備ができたことになる。台湾の政局不安は、第四原発の建設中止を決定した「総統」の責任問題から始まった。「総統」は建設中止の発表過程に問題があったといったん陳謝しているが、これに反発した野党三党は連携し対立が拡大した。陳「総統」は現在、国内政局ではきわめて苦しい立場に追い込まれている。

イラクが制裁解除へ活動強める
 最近、原油価格相場の不安を背景に、イラクが十年以上続く米英主導の国連経済制裁の早期解除に向けた活動を強めている。例えば、イラクの石油輸出の四割を占めるトルコ地中海岸からの石油輸出一時停止措置や原油輸出代金のドル建てからユーロ建てへの変更などである。これらは、国連管理下での石油輸出計画に対する批判、あるいは制裁解除に反対する米国への揺さぶり策などといわれている。エジプトと約十年ぶりの国交回復やサウジアラビアによる国境の開放、一日に開幕したバグダッド国際見本市に湾岸危機以後では最多の四十五カ国・地域が参加するなど、イラクにとって有利な状況も生まれている。


 メキシコで十月三十日、国家公務員約一万人が、これまで大統領の任期最終年度(新大統領はこの十二月に就任)に支給されていた特別手当の削除に反対し、支給要求のデモを行った。
 ドイツで戦前のナチスのユダヤ人襲撃記念日にあたる九日、極右勢力の台頭に反対し、政府、民間あげて三十万人のデモが行われた。
 ドイツ・ベルリンの開業医(約七千人)が、国、州政府よる低額の診療報酬、医薬品の使用制限措置など医療費抑制政策に抗議して十月下旬から一週間のストに入った。すでに九月には、ザクセンなどの二州でも数千人の医師が休業、デモを行っている。


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