2001105

日本のできごと
10/20〜10/29


末期症状みせる森政権
 森首相は十月二十日、ブレア英首相との会談で、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉に関し、「拉致(らち)疑惑」問題は「行方不明者として第三国で発見という方法もある」などと発言した。これに野党をはじめ自民党内からも批判の声が高まり、内閣懇談会や自民党総務会でも批判の声が上がった。そして中川官房長官が二十七日、これまで否定していた右翼団体幹部との交際や愛人への警察機密漏洩(ろうえい)問題などの責任をとる形で辞任した。また、KSD(中小企業経営者福祉事業団)による自民党党費立て替え問題などもあり、森政権の支持率はついに一五%にまで低下、政権は末期症状を呈している。

民主党内に新グループ、矛盾が激化
 民主党のネクストキャビネット会議は二十四日、有事における自衛隊の行動を規定する緊急事態法制に関する中間報告をまとめた。報告は自衛隊の行動にかかわるものに加え、米軍の行動にかかわる法制化を求めるなど、集団的自衛権の行使を求める鳩山代表の考えを具体化するもの。これに対し、旧社会党系議員十八人が「二十一世紀の民主党をつくる会」を旗揚げ、集団的自衛権を憲法に明記することに反対した。また、東京出身の国会議員なども独自にグループを立ち上げるなど、反執行部のグループの結成が相ついでいる。そして、少年法改悪をめぐる衆院での採決では、約十人が退場するなど、民主党のいっそうの保守化に反発と亀裂が深まっている。

党利党略の非拘束名簿式が成立
 参院比例区選挙で政党名でも個人名でも投票できる非拘束名簿方式を導入するための公選法改悪案が二十六日、自公保の与党三党の賛成多数で可決・成立した。法案は世論調査で賛成は一割しかないもの。与党三党は来年の参議院選挙で過半数割れが取りざたされており、知名度の高いタレント候補の擁立などで参議院選挙を乗り切ろうとする、露骨な党利党略である。

河野外相、拉致疑惑を固持
 オルブライト米国務長官の北朝鮮訪問を受けて二十五日、ソウルで日米韓の外相会談が開かれた。会談ではオルブライトが金正日総書記とミサイル問題などを話し合ったと説明、米朝関係の進展が朝鮮半島の緊張緩和に寄与するとの点で一致した。また、韓国の李廷彬外交通商相は日朝関係で「目に見える進展」を求めたが、河野外相は「いくつかの懸案で進展が必要」と、「北朝鮮の真しな態度」を要求し、引き続き「拉致」疑惑問題をもち出す姿勢を示した。

有識者会議が高齢者の負担を提言
 森首相の私的諮問機関である「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」(座長・貝塚啓明中大教授)は二十四日、報告書をまとめた。報告書は、公的年金への課税、健康保険料などの優遇措置の見直しなど、高齢者に負担を強いるとしている。また、高齢者の住宅など不動産を担保に金融機関から借り入れを緩和することを提案している。一方で、介護市場への参入規制緩和を唱えており、高齢者への犠牲とその資産をいっそう食い物にする提言である。

観艦式で海外派兵を強調
 自衛隊観艦式が三年ぶりに二十九日、相模湾で行われた。観艦式には艦船六十三隻、航空機三十八機など一万人が参加した大規模なものとなった。観閲官の森首相は、多国間による潜水艦救難訓練や中東への国際平和維持活動(PKO)への自衛隊の参加に触れ、自衛隊が「日本の防衛」だけでなく「国際平和のために貢献する時代を迎えている」と、さらなる海外派兵を強調した。


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