2001025

日本のできごと
10/10〜10/19


非拘束名簿式導入を強行、参院議長辞任
 参院比例代表選挙に候補者個人名でも投票できる非拘束名簿式導入をめぐって、斉藤十朗参議院議長はあっせん案を提示したが不調となり、十月十八日、責任をとり辞任に追い込まれた。参院は後任に自民党出身の井上裕議長を選出し十九日、野党が退席した中、与党三党の賛成多数で可決した。自民党は、党利党略で参院選挙制度の改悪を強行。参院議長の辞任など国民の政治不信は増大し、自民党などは苦しい国会運営を迫られるだろう。

中国・朱鎔基首相が来日
 森首相は十三日、来日した朱鎔基・中国首相と会談し、ホットラインの開設や艦艇の相互訪問、調査船の「事前通報制度」の早期確立などで合意し、両国の信頼醸成を進めた。朱首相は来日中、市民との直接対話も行い、日本人民も中国人民同様、日本軍国主義の犠牲者であると繰り返し述べた。朱首相は来日にあたり「歴史の問題で日本の国民を刺激しない」と述べ、経済協力を前面に押し出し、日中関係の改善を意識した訪日となった。

米国「知日派」が対日政策提言
 米国のアーミテージ元国防次官補やナイ元国防次官補ら共和、民主両党の「知日派」グループは十一日、米国新政権下での日米関係強化を求める対日政策提言を発表した。提言は、「日本は米国がアジアに関与していくうえでのかなめ石であり、日米同盟は米国の世界安保戦略の中核だ」と指摘。日本に集団的自衛権の容認、有事法整備、国連平和維持活動(PKO)への全面参加を求め、日本がより強力に軍事協力するよう迫っている。

民主党鳩山代表、集団的自衛権を強調
 民主党鳩山代表は十五日のテレビ番組で、「今の国際環境の中で、集団的自衛権を一切認めないという発想だと、国際的な意味での貢献も十分行えないことになりかねない」と述べた。これは、集団的自衛権の行使を認め、米国の東アジア戦略の先兵として、積極的な海外派兵、日米軍事協力を行おうとするものである。

公明党、「10年以内に改憲」
 公明党が十一月四日の党大会で決定する「重点政策」の骨格が十一日、明らかとなった。憲法改正問題について「今後十年以内に結論を出す」と明記。これまで公明党は「十年をめどに国民的な議論を展開する」との立場だったが、改憲に向けて大きく踏み込んだ。また、公明党は国連平和維持軍(PKF)本体業務への参加凍結解除の方向も打ち出しており、支持者をまたしても裏切った。

長野県知事に田中氏当選
 十五日に投開票された長野県知事選挙で、無所属の田中康夫氏が、共産党を除く自民、民主、社民などオール与党県政をひきつぐ前副知事の池田氏に十一万票余りの大差をつけて当選した。共産党の候補は基礎票を大幅に割り込み惨敗した。田中候補は長野県のトップバンク「八十二銀行」の頭取や県商工会議所連合会会長が支持を表明。長野オリンピック後の深刻化した経済危機の中で、政治に対する不満、怒りが地方の保守層の中でも高まったことを示したものといえる。

企業倒産が最悪、負債10兆円突破
 帝国データバンクは十六日、四〜九月期の企業倒産統計を発表した。倒産件数は九千四百七十三件で前年同期に比べ一九・六%増え、負債総額は十兆九千百三十七億円と、半期として戦後最悪の水準となった。ライフやそごうなどの大型倒産、公共工事の息切れによる建設業者の倒産が目立った。また、九八年十月に政府が導入した特別保証制度の効果が一巡し、同制度を利用していた中小企業が資金繰りできず倒産が続出した。


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