2001015

日本のできごと
9/30〜10/9


国会、与野党対立が続いているが
 参議院の比例代表選挙を政党名でも個人名でも投票できるようにする非拘束名簿方式の導入をめぐって、与野党の対立はいちだんと強まっている。自民、公明、保守の与党三党は十月六日、野党欠席のまま参議院選挙制度特別委員会を開き、審議入りした。また、与党側はあっせん利得罪や少年法改悪なども強引に提出しているが、与野党の対立が長引けば、日程上成立が困難になるなど与党側に余裕はない。だが、審議拒否を続ける野党の動揺も激しく、与野党とも国民不在の党利党略の争いに終始しているとの批判も強い。

政府、北朝鮮にコメ50万トンを支援
 政府は六日、朝鮮民主主義人民共和国に五十万トンのコメ支援を実施すると発表した。世界食糧計画(WFP)の要請である十九万五千トンを上回る大規模なものとなった。これは日朝国交正常化交渉で、北朝鮮の譲歩を引き出そうという狙いから。これまで自民党内には、「拉致(らち)疑惑」や「ミサイル問題」が解決しない限り支援すべきでないなどの意見もあったが、人道上当然の結果である。わが国政府は国交交渉で条件を付けず、戦争責任を明確にして直ちに国交正常化を行うべきである。

多国間演習に自衛隊初参加
 二日からシンガポール周辺で始まった多国間演習の西太平洋潜水艦救難訓練(パシフィック・リーチ二〇〇〇)に海上自衛隊が参加した。演習には米、韓、シンガポールと自衛隊の潜水艦「あきしお」、潜水艦救援母艦「ちよだ」などが参加した。防衛庁は、「演習は人道的活動であり集団的自衛権とのかかわりで問題はない」などと主張している。だが、日米防衛協力の指針(新ガイドライン)では、米軍への救援活動などが規定されており、この演習はガイドラインの具体化である。

千代田生命が破たん、負債は戦後最大
 千代田生命は九日、自力再建を断念し、更生特例法の適用を東京地裁に申請した。保険会社で再建型の倒産手続きである更生特例法の申請は初めて。なお、負債総額は二兆九千三百六十六億円となり、戦後最大の倒産になる。千代田生命の破たんは、株式の含み損や為替差損の増大が原因だが、再建のためにドイツ大手保険会社アリアンツなどの提携や東海銀行の資金援助を進めていたにもかかわらず、どちらも見込めなくなったことがきっかけとなった。

経団連、消費税25・5%を試算
 経団連は二日、財政破たんを回避するための改革を実施した場合の国民負担を試算した。試算では、歳出面の改革に取り組まない場合には、消費税を二五・五%に引き上げる必要があるという。一方、年金給付の縮小など歳出面を見直せば、消費税は一〇%程度になるという。どちらにしても財界は、大企業のために膨大に支出した結果である財政赤字の解決策を、年金などの社会保障の縮小か増税かという選択に求めている。負担をすべて国民に負わせようというものであり、断じて許されるものではない。

連合、中央委員会開催
 連合は四日、東京で中央委員会を開催し、あいさつした鷲尾会長は、春闘継続と民主党基軸による来年の参議院選挙勝利を訴えた。だが、二〇〇〇年春闘が史上最低といわれるように、連合のストなし春闘では賃上げや格差是正はかち取れない。また、「民主党基軸」というが、労働者の利益と無縁な民主党を支持することは、利敵行為にしかならない。

国労、四党合意案賛成が55%
 国労は四日、千四十七人のJR採用差別問題の解決にあたって、与党三党と社民党が示した「四党合意」案の賛否を問う全組合員による投票結果を発表した。賛成が五五・一%で、反対が三六・〇%、保留四・八%だった。国労本部は八月の臨時大会において、「JRに法的責任なし」と認めることを問題解決の条件にした「四党合意」案について、一票投票で賛否を求めると決定していた。今後は二十八、二十九日の大会でその賛否を決定するが、国労の団結を守り、侵害された労働者の権利を回復する解決策が求められている。


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