2001005

世界のできごと・人民のたたかい
9/20〜9/29


ユーロ安で日米欧が初の協調介入
 日米欧主要七カ国の通貨当局は九月二十二日、欧州通貨ユーロの下落を阻止するため、初のユーロ買い介入を実施した。ユーロ相場は八月半ばから急落、昨年一月の導入時に比べ、ドル、円に対して約三割も下落して危機的な局面が続いた。ユーロ圏経済は、原油高、輸入物価の上昇が最大のインフレ要因となり、今後への不安が強まっている。二十六日開催された七カ国(G7)蔵相会議も、ユーロ安は原油高とともに、世界の株下落、景気後退への要因になるとして懸念を表明し、危機感を表した。一方、ユーロ導入の可否を問うデンマークの国民投票は二十八日実施され、反対が五三%を占め、否決された。今後、英国、スウェーデンなどの加入に大きく影響するとみられ、ユーロに深刻な打撃となった。

OPECが「対等な立場」求める
 ベネズエラで開いていた石油輸出国機構(OPEC、十一カ国)首脳会議は二十八日、加盟国と非加盟国との連携や米欧などとの「対等の立場での対話」を求め、あからさまな増産圧力には屈しないカラカス宣言を発表した。宣言は、OPECの価格安定への努力継続を確認するとともに、価格について先進国の責任も指摘している。また先進国の燃料税制見直しを要求し、一部途上国の重い対外債務の削減も求めている。会議で、議長国のチャベス・ベネズエラ大統領は、先進国の高い燃料税や投機を激しく非難し、加盟国の結束を訴えた。今回の会議は、米欧などの圧力に屈せず、途上国との結束を強調する場となった。

コーエン米国防相が日韓を歴訪
 コーエン米国防相は二十日韓国を訪問し、金大中大統領と会談した。両者は、東アジア安定のために在韓米軍の駐留と米韓軍事同盟の維持の重要性について一致。米韓国防相による定期安保協議も行われた。さらにコーエンは二十二日、日本を訪問し、森首相、虎島防衛庁長官らと会談。日米は「朝鮮南北首脳会談以後も軍事面では変化がない」との認識で一致した。コーエンの日韓訪問は、朝鮮半島で急速に進む緊張緩和・対話の動きに対抗し、米国主導で日米韓の軍事的結束を再度引き締めようという反動的なものである。

ユーゴ選挙へ米欧が露骨な干渉
 ユーゴスラビアで二十四日大統領選挙が実施され、十月に決選投票という結果となった。だが、勝利宣言する野党とミロシェビッチ大統領陣営とが対立し、混乱が続いている。この選挙で、米欧は現政権の転覆をたくらみ、横暴きわまりない干渉を行っている。欧州連合(EU)や米国は選挙前から、経済支援をエサに野党候補を支援し、北大西洋条約機構(NATO)軍も、派遣軍増加などで軍事的圧力をかけた。他国からのユーゴ干渉は断じて許されるものではない。


 チェコで開かれた国際通貨基金(IMF)、世界銀行の総会に対して、貧富の格差拡大、米国主導のIMF路線の押し付けに抗議する数千人の集会、デモが二十三日から連日行われた。欧州各地からの労働者、市民によるこの行動は、二十六日には一万人に達した。
 フランスで二十八日、週三十五時間労働制による人員増と賃上げを要求して労働総同盟(CGT)など国鉄の六労組が二十四時間ストに突入した。仏国鉄では二〇〇一年末までに二万五千人の増員が決まっているが、さらに人員増などを求めている。
 フィリピンのマルコス元大統領の戒厳令布告から二十八周年にあたる二十一日、マニラでは教会関係者など約一万人が参加し、また全国で「戒厳令を繰り返さず、民主主義の擁護を」と訴える集会やデモなどが行われた。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000