2001005

日本のできごと
9/20〜9/29


臨時国会開会、森首相がIT国家構想
 第百五十臨時国会が九月二十一日に開会した。森首相は所信表明演説で、情報通信の最先端国家をめざすIT(情報技術)国家戦略構想を早急にまとめると宣言。大企業が国際競争に生き残るために支援する方向を打ち出した。今国会では、あっせん利得処罰法案、参院選挙制度改革案、健康保険法改正案などが審議される予定だ。国民の関心の高い問題が山積しているが、真に国民の利益を守ろうとする野党は見あたらない。

日韓首脳会談で日米韓の連携確認
 来日した韓国の金大中大統領は二十三日、森首相と会談し、経済分野で自由貿易協定(FTA)の締結をにらんだ民間経済人による対話を始めることで合意した。対北朝鮮政策では日米韓三カ国の連携を一段と緊密にしていくことを確認。金大統領は韓国の国益にとって日朝関係の改善が必要であるとして、森首相に「日本人らち問題を前向きに解決することを望む」と暗に柔軟な対応を求めた。

教育制度改悪へ改革会議が中間報告
 森首相の私的諮問機関である教育改革国民会議は二十二日、戦後教育の見直しに関する中間報告をまとめた。小中高校生全員に奉仕活動をさせることや、大学入学の年齢制限撤廃、教員免許の更新制の検討なども打ち出した。政府は来年の通常国会を「教育改革国会」として、本格的に教育制度改革に着手しようとしている。政府・財界は国際競争にうちかつ人材育成のために、差別化の導入など教育制度の改悪をもくろんでおり、教育基本法の見直しまで踏み込む意向だ。

米軍NLP中止に追い込まれる
 米海軍は二十一日、厚木基地で二十四日までの予定で実施していた夜間発着訓練(NLP)を突然中止した。NLP強行に三沢市(十八日)や大和市(二十日)、綾瀬市(二十一日)が相ついで「友好関係の中断」という強い抗議を示したため。河野外相も来日中のコーエン米国務長官に、「基地周辺の住民感情に配慮する努力が必要」と言及せざるをえなかった。NLPを中止に追い込んだことは画期的だ。

平均給与、2年連続減
 国税庁が二十六日に発表した「民間給与実態統計調査」で、民間企業の労働者が一九九九年一年間に受け取った平均給与(給料、手当、賞与の合計)は、前年より〇・八%少ない四百六十一万三千円で、二年連続の前年比マイナスとなったことが明らかとなった。ボーナスの平均も二年連続の減少で八十一万六千円(同七・四%減)。給与に占めるボーナスの割合は二一・五%で、ここ四十年でもっとも低い割合だった。

NTTがさらなる合理化へ
 日本電信電話(NTT)は二十二日、十月から東西地域会社の社員を対象に六千五百人の希望退職を募る方針を発表した。昇給率の低い賃金制度の導入なども検討している。NTTは今年度からの三カ年で二万一千人を削減する方針だったが、さらに追加したものであり、九三年からすでに一万四千人を削減している。大競争時代の収益基盤強化を狙い、労働者を切り捨てる大合理化を進めている。

来年度減反、過去最大に
 政府は二十八日、来年度の減反面積を最大で十万ヘクタール拡大することなどを決めた「緊急総合コメ対策」を発表した。減反の三年ぶりの拡大で、減反面積は過去最大の百六万三千ヘクタールとなる。また、来年産米の政府買い入れ価格は前年比二・六%引き下げて六十キログラム当たり一万四千七百八円とすることも発表した。米価暴落が農家を直撃する中で、さらに米価を低く抑え、かつ減反拡大は、日本農業をいっそう衰退させるものである。


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