2000915

世界のできごと・人民のたたかい
8/30〜9/9


米国のNMD配備先送りに
 クリントン大統領は九月一日、国家ミサイル防衛(NMD)システム配備についてのすべての決断を次期政権にゆだねる方針を正式に発表した。もともと配備決定は今秋とされていたが、今回の決定の背景には、相次ぐ実験の失敗や中ロの反発など外交困難に直面している状況がある。その結果、NMDは北朝鮮のミサイル攻撃からの米本土全体の防衛を「口実」としていたものだが、二〇〇五年という迎撃ミサイルの第一次配備が遅れるのは必至となった。この構想のいわば「小型版」で、日米が共同研究を進める戦域ミサイル防衛構想(TMD)も打撃を受ける見込みだ。米政府はNMD配備により、中国、ロシアなどに対抗して超大国としての優位性を維持しようとしていたが、今回の先送りでそのもくろみは、当面挫折した。

南米初の首脳会談で結束を誇示
 ブラジル、アルゼンチン、チリなど南米十二カ国による初の南米首脳会談が九月一日、ブラジルで開かれ「ブラジリア宣言」を発表した。宣言は、高速道路、電気・ガス、通信のインフラを共同整備すること、南米の新たな自由貿易圏の創設などを盛り込んでいる。民主主義や人権問題のための「南米平和地域」設置などでも一致した。首脳会談の主要メンバーの一人であるカルドゾ・ブラジル大統領は、「南米の新たな自由貿易圏を二〇〇二年までに発足させたい。南米は全力で結束して共通の利益を守ろう」と、非関税障壁で自国を保護し南米諸国の大幅な輸入超過貿易をもたらしている米国、欧州に対する対決姿勢を鮮明にした。参加南米諸国は、初の首脳会談で結束を示した。

米国政府、コロンビアへ軍事援助
 クリントン大統領は八月三十日、コロンビアを訪問し、パストラナ大統領と会談、麻薬・左翼ゲリラ対策「プラン・コロンビア」への援助を表明した。それへの十億ドルの援助のうち軍事は六億ドル以上(作戦ヘリ六十機と五百人派遣される軍事顧問による国軍への訓練も含む)となっている。南米諸国は、米国の軍事援助、干渉は、国内戦がいっそう激化させるものと、懸念を表明していた。クリントンは「ベトナム化ではない」と必死の弁明をしているが、南米に対する露骨な干渉であることは明白だ。


 ガソリンなど燃料代値上がりに抗議するフランスの漁業関係者は八月三十日、港を封鎖、主要港は機能マヒ状態になった。トラック運送業者(全国輸送業者連盟など)は九月三日から、全国約八十カ所の製油所、貯蔵所前にトラックを並べて封鎖、石油の輸送を阻止した。この行動には農業団体、救急車の業界団体も参加した。その結果、全国のガソリンスタンドの八割が品切れに陥った。旅行バス業者は道路の「渋滞」闘争を展開し、タクシーもストライキを決行した。フランスでは、軽油、ガソリンは前年比約二〇%上昇したため、トラック業界などは税金の減額などを要求している。
 ガソリン値上がり問題はイギリスにも波及し、同国では農民がロイヤル・ダッチ・シェルの製油所を一時封鎖し、精製所や流通拠点もトラック、トラクターなどで封鎖された。スペインではドライバーらによるガソリンスタンドの封鎖、抗議行動はイタリア、ギリシャにも広がっている。
 コロンビアの首都ボゴタで八月三十日、クリントン米大統領が同国を訪問して六億ドルの軍事援助をすることを表明したことに反対して、労働者、学生ら二千人がデモ行進した。カルタヘナでは警官隊との衝突では死傷者まで出た。


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