2000915

日本のできごと
8/30〜9/9


日ロ首脳会談、平和条約にメド立たず
 森首相は九月四日、来日したロシアのプーチン大統領と会談した。クラスノヤルスク合意にそって年内に平和条約締結のめどをつけたい日本と、領土問題の先送りをねらうロシアとの交渉は平行線をたどった。プーチン大統領は強硬姿勢をくずさず、平和条約締結後の二島返還を確約した五六年の日ソ共同宣言の有効性を確認したにとどまった。一方、経済協力分野では、シベリアや極東の共同資源開発などを盛り込んだ「森・プーチン・プラン」の策定に合意した。平和条約、領土問題で、ロシアに対する森政権の無策・無能ぶりが示された。

民主党が新体制、議員逮捕で不信強まる
 民主党は九日、東京都内で党大会を開き、鳩山代表、菅幹事長の新体制を決定した。鳩山代表は安全保障問題に関して「憲法問題を含めて論議を加速すべきだ」と積極的な改憲議論を述べ、反動的な姿勢をみせた。来年の参院選をにらんでの新体制だが、菅幹事長の元秘書である山本譲司衆院議員が秘書給与詐取で逮捕されるなど、同党への国民の不信が強まる中での出発となった。(1面参照)

石原都知事、自衛隊「防災」演習強行
 東京都は三日、「ビッグレスキュー東京二〇〇〇」を実施した。陸海空の自衛隊七千百人、警察など二万五千人、航空機百二十機、装甲車など車両千九百台が参加。銀座に装甲車が出動するなど、過去に例のない大がかりなものとなった。石原都知事は「外国の侵犯にも自ら守るという気概が必要」「三軍(陸海空自衛隊)は演習に励んでいただきたい」と軍人ばりの発言。防災訓練を超えた「演習」となった。治安出動を意識した演習、軍事力の誇示に対し、抗議の声が強まっている。

90年代、規制緩和で140万人失職
 経済企画庁は五日、一九九〇年代の規制緩和が雇用に与えた影響についてリポートを発表した。規制緩和が進んだ運輸・通信・サービス業で九二〜九九年までに百四十万人が職を失った。同分野で新規に雇用されたのは百十万人にすぎず、差し引きで三十万人が働く場を失ったことになる。規制緩和が労働者の生活をおびやかし、雇用創出につながらないことが数字で示された。

リストラで大企業の所得24.9%増
 国税庁は五日、資本金三十億円以上の大企業(九九年度決算)の申告所得状況を発表した。対象となった三千二百二十七社の所得の総額は十六兆七千九百六十三億円で、前年度比二四・九%増となった(表)。厳しいリストラで労働者や下請け企業を追いつめる中、大企業が利益増加を得ている姿が見えてくる。業種別にみると金融業がトップテンのうち五社を占めた。申告所得二位の東京三菱銀行は前年度比伸び率は四五%にもなっている。公的資金投入など政府の手厚い保護の下で、巨大金融機関はますます肥え太っている。

99年度決算の申告所得上位
順位 社名 申告所得(百万円)
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1 トヨタ自動車 483,136
2 東京三菱銀行 362,126
3 日本生命保険 360,741
4 東京電力 354,124
5 NTTドコモ 255,387
6 第一生命保険 243,857
7 本田技研工業 213,427
8 三和銀行 213,228
9 関西電力 203,792
10 武富士 194,426


勤労者世帯、消費支出3・6%減
 総務庁が五日に発表した七月の家計調査によると、一世帯当たりの消費支出は三十二万三千五百三十七円で、実質で前年同月を二・六%下回り、三カ月連続の前年割れとなった。調査対象の六割を占めるサラリーマン世帯の実質消費支出は前年を三・六%下回った。賃金が上がらず消費を切り詰めざるをえない状況がうかがえる。国民にとっての景気回復にはほど遠い状況だ。


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