2000905

日本のできごと
8/20〜8/29


日朝国交交渉、過去の清算で平行線
 日朝国交正常化第十回交渉は八月二十二日から、東京などで開かれた。日本側の高野主席代表は、国交正常化に際して日本人拉致(らち)疑惑問題、ミサイル開発問題などを一括して処理することを要求した。朝鮮民主主義人民共和国の鄭主席代表は、「植民地支配への謝罪と補償など『過去の清算』を優先的に解決すべきだ」と主張した。日朝の主張は対立したままだが、対話の継続と強化で一致しており、次回交渉を十月に行うことで合意した。政府は戦争責任とその清算を一刻も早く行い、国交正常化に真摯(しんし)に取り組むべきである。(社説参照)

森首相、印パ訪問で核拡散に圧力
 南西アジア歴訪中の森首相は二十一日、パキスタンのムシャラフ最高行政官と会談し、核実験凍結や包括的核実験禁止条約(CTBT)への早期署名を求めた。ムシャラフ氏は「インドがしない限り、核実験を凍結する」と応じた。また森首相は二十三日、インドを訪問しパジパイ首相と会談しCTBTへの早期署名を求め、パジパイ首相は「署名は国内のコンセンサスづくりに努めている」と述べた。印パ両国の姿勢を評価して政府は、両国への経済制裁の一部を解除した。森首相の歴訪は、米国の「核の傘」のもとで核拡散を防ごうとするものであると同時に、中国を包囲する動きとの声もある。また、今回のインド訪問は、立ち遅れた情報技術(IT)分野でインドとの協力を推進するためともいわれる。

河野外相、援助エサに中国けん制
 河野外相は二十八日から訪中し、唐外相と会談した。河野外相は、日本海での中国海軍の活動や軍事費の増加に対し懸念を表明、対中政府開発援助を材料に持ち出して中国をけん制した。河野外相は真の友好協力のパートナーシップといいながら、対中強硬姿勢を露骨に打ち出しており、日中間に溝を作っている。

日債銀譲渡、ばく大な公費投入へ
 金融再生委員会は二十五日、特別公的管理(一時国有化)中の日本債権信用銀行をソフトバンク、オリックスなどの企業連合に譲渡することを承認した。そのために債務超過の穴埋めなどで約三兆円の公的資金投入を決定。さらに譲渡後も日債銀に残る不良債権一兆二千億円についても、その四割を公的資金で補うという。しかも債権が目減りすれば瑕疵(かし)担保特約に基づいて国が買い取ることになっており、ここまで国民の税金で銀行を支援することは許されない。(前号社説参照)

抜け道だらけのあっせん利得罪合意
 自公保三党は二十八日、政治家が公務員への口利きの見返りに報酬を得ることを処罰する「あっせん利得罪」創設法案で基本的に合意した。自民党が当初難色を示していた、政治資金規制法で処理された金銭のやりとりも、口利き行為と認められた場合に処罰の対象となることで合意した。自民党は参議院選挙をにらみながら、また連立政権維持のために公明党案を受け入れた。だが、与党案は私設秘書を適用対象からはずすなど抜け道を用意したもので、政治浄化にはほど遠い。

与党3党、公共事業中止233件を決定
 与党三党は二十八日、島根県の中海干拓や徳島県の吉野川堰などを含む公共事業見直し案を決定した。この案通りに中止を決定すれば、二百三十三件、総額約二兆八千億円の事業費を使わずにすむという。だが、中止検討事業は約六千件で、九九%は継続された。また、建設省所管事業百二件で見れば、国の年間予算の削減は千五百四十億円に過ぎない。その上、中止される事業は十年以上棚上げされてきたものなども多い。結局、来年の参議院選挙をにらんだ人気取り政策に過ぎない。

酒販売規制緩和で一部撤廃を延期
 政府は九月一日から実施予定の酒類販売の新規参入規制の一部撤廃を来年に延期したが、与党三党は二十九日、青少年問題を口実に対面販売の小売商を保護するため未成年者飲酒禁止法改正と未成年者に販売した業者の免許を取り消す酒税法改正案を次期臨時国会に提出することを決めた。自民党は規制緩和などで中小小売商をさんざんつぶしておきながら、参議院選挙目当てに策を弄(ろう)している。


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