2000615

日本のできごと
5/30〜6/9


日米韓首脳会談で結束を確認
 小渕前首相の葬儀に参列したクリントン米大統領と韓国の金大中大統領、森首相との個別会談が六月八日、行われた。各会談では、近く開かれる朝鮮の南北首脳会談に向けて、朝鮮政策で三国が緊密な連携を維持し合っていくことを確認した。森首相は、米韓首脳に対し、「日米韓連携を継続したい」と強調。朝鮮民主主義人民共和国が最近、中国、ロシアとの間で相ついで首脳外交を展開・計画し、連携を図ろうとしていることに対抗し、日米韓が結束を図った。

森首相、今度は「国体」発言
 衆議院が二日解散されたが、森首相は三日、奈良市の講演で「民主党は共産党と政権を組むのか。そういう政党(共産党)と、どうやって国体を守るのか」と述べ、民主、共産両党を批判した。「国体」は戦前、戦中「天皇中心の国家体制」という意味で盛んに使われた言葉であり、首相はまたもや時代錯誤の反動的発言を繰り返した。中国中央テレビは四日、「森首相がこの言葉を考慮せずに使ったことは、先の『神の国』発言と同様、首相の政治的信念と歴史観を示すものだ」と批判した。相つぐ「失言」は、国民の不信感にいっそう輪をかけている。

民主党の公約、増税を打ち出す
 民主党は一日、『十五の挑戦』と題した衆院選公約を発表した。その中で、低所得者層への広範な増税をもくろむ反国民的な「所得税の課税最低限の引き下げ」を公然と打ち出した。鳩山代表は「甘いバラマキや自公保三党との政策の違いを明確に打ち出す」と表明したが、これをめぐって与野党を超えて賛否両論が出ており、総選挙の重大な争点の一つとなっている。

共産党、消費税下げを棚上げ
 共産党の不破委員長は五日の常任幹事会で、これまでの国政選挙などで掲げてきた消費税の三%への引き下げについて「引き下げると(財源として)五兆円が吹っ飛び、介護など社会保障の前向きの施策ができなくなる」と述べ、財政再建にメドがたってから税率引き下げを検討すべきだとの考えを示した。また、有事には自衛隊を活用することも容認することを言明した(朝日でのインタビュー)。総選挙を契機に、共産党はいちだんと「現実路線」に踏み込んだ。

大店立地法施行で大型店ラッシュ
 大店立地法の六月施行に合わせ、ダイエー、ジャスコ、イトーヨーカ堂など大手スーパーが、年中無休営業に踏み切ることを決めた。また営業時間も、新法施行前に「午後九時閉店」へ延長するよう駆け込み申請している。スーパー大手六社の二〇〇〇年度の出店予定店舗は百十六と、前年実績の一・七倍の見込みだという。新店の開業が相つぐ六月以後、大型店の競争はいっそう激化することが予想され、地域の中小商店にとってはさらに経営困難を招くものとなるだろう。横浜市や仙台市のように、立地法に基づく国の指針よりさらに厳しい基準を設定して、大型店の規制を強めようとする動きもある。

GDP成長率年0.5%となったが
 経済企画庁が九日発表した一〜三月期の国内総生産(GDP)は、実質で前期比二・四%増となり、九九年度の成長率は〇・五%と三年ぶりにプラスとなった。だが、政府見通しの〇・六%には届かなかった。今期は、設備投資、住宅投資が伸び、個人消費もうるう年によって増加したという。しかし、高水準の失業、倒産が続き、財界が賃上げを抑制している下で、今後GDPの大きな割合を占める個人消費が大きく伸びる保証はない。したがって、成長率の伸び、景気回復はそう容易には期待できないであろう。


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