2000525

日本のできごと
5/10〜5/19


「神の国」発言で不信急上昇
 森首相は五月十五日、神社本庁の政治団体である神道政治連盟国会議員懇談会で「日本は天皇を中心にしている神の国である」とあいさつした。この発言に対し、中国外務省は、日本は「歴史の過ちを繰り返さないようにすべきだ」と要求、韓国やシンガポールなどのマスコミも一斉に批判した。国内でも、平和団体やキリスト教団体などが抗議行動を起こすなど、国民の批判が集中している。野党も首相退陣などを要求し、六月初めといわれる国会解散直前に、不信任決議案を提出する構えである。森首相は首相就任以来「失言」を連発して政権への国民不信を増大させ、自ら窮地に立っている。

日中外相会談で中国へ圧力かける
 河野外相と来日した中国の唐外相との会談が十日、開かれた。両外相は、中国の朱首相の十月来日で合意した。だが、この会談で河野外相は、中国への政府開発援助(ODA)について第四次円借款の期限切れに伴い、今後の援助の内容、期限などについて見直す意向を明らかにした。日本側の見直し理由は、日本から最大の政府援助を受けながら、中国が国防費を大幅増加させている、などというものである。わが国は政府援助を利用しながら、中国の国内政策へ露骨に圧力をかけている。

タクシー事業の参入を自由化
 タクシーと乗り合いバスの規制緩和を盛り込んだ道路運送法改悪案が十九日、参議院で可決、成立した。政府が新規参入を制限してきた需給調整規制は廃止して許可制に移行し、二○○一年度から新規参入・撤退が原則として自由化される。ただし今回の改悪では、業界などの抵抗により運賃・料金の認可制は維持され、タクシーでは臨時的な需給調整ができる「緊急措置」が導入された。今回の改悪は、タクシー、バス業界における弱肉強食、中小零細企業の淘汰(とうた)に導くもので、ひいては安全や利用者、従業員の待遇悪化につながるものである。

公明抱き込みで児童手当改悪
 児童手当の支給対象を拡大する児童手当改悪法が十九日、参議院で可決、成立した。支給対象を、年収七百十二万円以下の世帯に限って、現行の三歳未満から小学校入学前までの子供にまで拡大する。財源は、十六歳未満の年少扶養控除の縮小、つまり小学校から十六歳未満の子供のいる世帯、中堅所得層以上の世帯への広範な増税によって確保する。自民党が公明党抱き込みのために、昨年拡大したばかりの扶養控除を削減し、大幅に増税するもの。

大企業はリストラなどで大もうけ
 上場企業の二○○○年三月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前期比一四・二%増と、三期ぶりに大幅増加したことが、最近明らかになった(日経調査、金融除く五百五十七社)。売上高は全体で二・七%減少したものの、最終損益も一四三・七%増となっている。例えばトヨタ自動車は、経常利益が三%増の七千九百七十億円、連結純利益は四千六十七億円と一四%も増えている。さらに上場企業の次期は、「設備投資の広がりやリストラ進展などが支え」となり、増収増益になる見込みという。大量の人員削減、賃下げなど労働者犠牲の上に、大企業は大もうけである。

「介護保険料重い」が約6割に
 介護保険制度による高齢者の保険料負担について、高齢者とその家族の五九・六%が「重い」と答え、「妥当」の三六・○%を大幅に上回っていることが、サンセイ長寿社会研究所の調査で明らかになった(三月調査)。また、要介護認定についても、認定を「信頼していない」と答えたのは四八・八%と半数近くに達し、「信頼している」と答えたのはわずか一○・三%にとどまった。この調査でも、現行制度に根本的問題があることが浮彫りになった。


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