2000515

世界のできごと・人民のたたかい
4/20〜5/9


NPT検討会議、米に批判集中
 核拡散防止条約(NPT)の履行を点検する五年に一度の再検討会議はニューヨークで四月二十四日から始まった。冒頭発言したアナン国連事務総長は「国家ミサイル防衛(NMD)は弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を危険にさらし、新たな軍拡につながる」と暗に米国を批判した。また南アフリカのミンティ代表は「核保有国とその軍事同盟加盟国が戦略的に核兵器に依存し、強化している」と指摘。これに対し、米国のオルブライト国務長官は、NMDの配備を進め、ロシアとの間でABM制限条約の修正を求めることを強調し、核独占による覇権主義の狙いを表明し、開き直った。核大国による核独占のためのNPTの場でも、核大国に批判が集まっている。

ASEAN、引き続き結束固める
 東南アジア諸国連合(ASEAN)は五月一日、ミャンマーで経済閣僚会議を開催し、マレーシアが自動車関連の域内関税引き下げを二〇〇五年一月まで延期することで合意した。ASEANは、二〇〇二年までに域内関税を引き下げるASEAN自由貿易地帯(AFTA)を実現させることで合意しているが、「国民車構想」を進めるマレーシアに譲歩し、ASEANの結束を優先させた。

ソロスのファンドも行き詰まり
 ジョージ・ソロスが運営する米大手ヘッジファンドのクォンタム・ファンドは四月二十八日、運用方針を全面的に見直し、リスクの高い株などの運用を大幅に縮小すると発表した。同ファンドはハイテク関連株に重点投資してきたが、三月にハイテク株が急落し、大打撃を受けたといわれる。今回の路線変更は、大手ファンドのタイガー・マネジメントの破たん続くもので、バクチで維持されている資本主義の危うさを象徴するものといえる。

ジンバブエで黒人が農場を占拠
 白人農場占拠問題をめぐっての首脳会談が四月二十二日、ジンバブエで開催された。会談はジンバブエのムカベ大統領と南アフリカ、ナミビア、モザンビークの各大統領が参加し、農地再配分のための資金を西側諸国に提供するよう求めた。ジンバブエでは、国土の二割におよぶ豊かな土地「ハイランド」を白人が押さえ、国土の半分を占める荒れ地に黒人農民が押し込まれている。英国は同国の独立に際し、農業のノウハウ、資金援助を約束に白人農場を残させたが、サッチャー首相(当時)が約束をホゴにしている。今回の問題は植民地支配のツケであり、責任は英国が負うべきである。

ベトナム戦争勝利25周年
 ベトナム戦争勝利二十五周年記念日の四月三十日の前日、共産党・政府主催の記念式典がハノイで開かれた。ファン・バン・カイ首相は「(戦争勝利は)わが国の歴史に新たな時代を記した」と強調しながらも「戦争の影響はなお深刻」と指摘した。その上で首相は「参戦国が戦禍を取り除くよう責任ある行動を取るのが常識」と、米国に戦争被害の救済を要求した。また、ホーチミン市党委員会のボー・ビエット・タイン副委員長は「四月三十日の偉大な勝利は、全国民の勝利であり、残虐に対する正義、圧制にたいする人道の勝利である」と強調し、米国の侵略を撃退し、南ベトナムを解放した偉業を再確認した。


世界のメーデー
労働者階級と被抑圧民族の団結を訴え、今年も世界各地でメーデーが闘われた。

 ドイツでは中央メーデーに二万五千人が参加したのをはじめ、各地で「反資本主義」を掲げたメーデーが行われた。ハンブルグでは、デモ隊に警官隊が弾圧を加え、百二十人以上が逮捕された。
 イギリスのロンドンでは「反資本主義」、環境保護を掲げた数千人のデモが行われた。首相官邸付近では警官隊と衝突した。
 フランスではパリを中心に各地で三万人がデモ行進を行った。フランスでは週三十五時間労働制とともに変形労働時間制が導入され、労働災害などが増加しており、デモ隊は変形労働制反対の声を上げた。
 イタリアではローマで五万人が参加し、ミラノでは四万人が参加するなど各地でデモが行われた。デモ隊は、政府による解雇規制廃止のための国民投票に反対し、労働者の権利を守ろうと訴えた。
 ロシアのモスクワでは共産党や労働組合など約二万人が参加した。
 韓国では韓国労働組合総連盟(韓国労総)は、各地でメーデーを行い、「平均一三・二%の賃上げ」「リストラの中止」などを求めた。なお、全国民主労働組合総連盟(民主労総)は四月二十九日に二万人以上が参加する集会を開催し、一五%以上の賃上げと大宇自動車の海外売却反対などを要求した。
 インドネシアでは三十五年ぶりのメーデーがジャカルタなど十四カ所で行われた。労働者は朝からストライキに決起し、賃金の大幅引き上げ、石油燃料や公共料金の引き上げ反対、生活擁護、雇用確保などを求めた。ジャカルタでは三千五百人が集まり、ワヒド政権が国際通貨基金(IMF)や世界銀行の圧力に屈せず、国民経済を守るよう求めた。
 フィリピンのマニラ首都圏では五カ所で集会が行われ、十数万人が参加した。デモ隊は、国民に犠牲を押しつけるIMFや世界銀行を糾弾し、貧しい者のための政治を行えなどと訴えた。
     ◇     ◇
 米自治領プエルトリコのビエケス島で五月二日、島民たちが米国への抗議集会を行った。これは米軍演習阻止の闘いに対し、米国が島民を強制排除して演習を再開しようとしていることに抗議したもの。米国でも五日、ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコなどで島民が排除されたことに抗議する集会やデモが行われた。
 フランスの航空会社エール・リベルテの組合は四月二十一日、欧州内の再編に反対し全面ストに突入した。同社の大株主である英ブリティシュ・エアウェイズが株売却の方針を打ち出したため、同社の再編とそれにともなう合理化に反対したもの。
 ポルトガルで九日、公務員労働者が政府の賃上げ拒否に抗議してストライキに突入した。ストは労働者総連合と労働総同盟が呼びかけたもので、リスボンの地下鉄が全面的に停止したのをはじめ、各地でバスや学校が止まった。
 イタリアのファシズムからの解放記念日にあたる二十五日、ローマをはじめ各地でファシズムとの闘いを振り返る催し物が行われた。ミラノでは労組員、学生など一万五千人がデモ行進を行った。
 インドネシアの第二の都市スラバヤで港湾労働者約五千人が二十四、二十五日、賃金の引き上げなどを求めてストライキを行った。このため港湾貨物運送やドッグはマヒ状態になり、インドネシア船主協会は引き上げ回答を行った。
 また、ジャカルタで二十二日、シクロ(人力三輪タクシー)運転手約千人が市内を行進した。これは政府が交通渋滞の原因としてシクロの市内からの排除を進めたことに抗議したもの。


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000